異能バトルもの

スパルタンEX

第1話



 俺は武藤大樹。つい先日まで普通の人間だった。

 そう。普通だったんだ。


 だけど今は覚醒者とかいう変なものになったせいでよく分からない争いに巻き込まれている。


 今だってそうだ。目の前にはいかにもって言う感じの柄の悪そうな男が立っている。


「おい。おめぇが最近覚醒者になったって言う奴だな。大人しく俺について来れば命だけは保証してやる。それとも反抗するか?」


 ほら、やっぱり面倒くさいやつだ。

 俺はこんなのに巻き込まれたくない。なのに覚醒者とかよく分からないものになっちゃってから毎日こうだ。本当にめんどくさいよ。


「いや、ついて行ったら確実に命の保証があるという証拠がないだろ。なら俺はついて行かないよ。」


 もちろん着いていくわけない。どうせ用が済んだ後はサヨナラに決まってる。


「そんなの着いてこなくちゃ分からねぇだろうがよ!あとおめぇわかってんのか?おめぇに拒否権なんてねぇんだよ。まだ覚醒者になってひと月も経ってないガキが逆らえるわけがねぇからな。」


 ほら、やっぱりこうなる。毎回毎回こうだと飽きてくるよな。


「そんなのやってみないとわからないですよね。なら勝負してみます?俺負けないんで。」


「てめぇ調子乗ってんだろ。覚醒者になったからって自分が最強だと勘違いしてるだろ。」


 いや、別にそんなことないですけど。むしろ普通になりたいわけだし。


 まぁどうせめんどくさい事になるならさっさと戦って終わらせないとね。


 そうして相手から攻めてくるのを待っているとどこからか


「ちょっとあなた達!こんな時間に何してるの!」


 という声が聞こえてきた。

 声のした方を見てみると上からそれはそれは輝いている羽衣をつけながらこちらにおりてくる女の人が現れた。


「助けてください!急にあそこの男に難癖をつけられて…」


 俺は直ぐに彼女に対して助けを乞うた。


「それは本当なの?」


 そういい彼女はあのチンピラの方を向いた。


「そいつは覚醒者になりたてだから俺たちが守ってやろうと思っただけだよ。何もやましいことなんてねぇよ!」


 そう言ったが


「あら、そう言っている割にはさっき貴方から襲おうとしていたようだけど。」


「……ちっ。めんどくせぇな。別に一人も二人も変わらねぇか。恨むんならその男を恨むんだな!」


 そう言ってこういう時にありがちな短気野郎だった男がこちらへ襲いかかってきた。


 仕方なく俺はスキルを使おうとした。だがそこで一緒に狙われていた彼女が何やらスキルを使用したようで当たりが急に明るくなった。


 少しして光が収まると目の前にいる男がボーッとした状態でたっている。


「ふぅ。今が夜でよかったわ。あなたもこんな時間に外に出てるとこういう輩に絡まれるのだから気をつけなさい。」


 そう彼女は言ってこちらへと歩いてきた。


「停止も永遠じゃないから早くここを離れましょう。」


 そう言われたので俺は彼女と一緒に表まで歩き出した。

 そうして安全なところまで歩きながら


「ありがとうございました。」


 と感謝を述べた。


「お礼はいいわ。それよりもあなたも覚醒者なのよね?ならば覚醒者の学校に通うことになるだろうから準備をしときなさい。」


 ん?なんだその学校は。


「なんですか?その学校は?」


「簡単に言えば覚醒者が必ず通うことになる学校よ。覚醒者の大半は高校にはいる頃に覚醒者になるの。

 だからそういう人たちを教育する場が覚醒者学校。

 とは言ってもこちらに覚醒者を探す方法なんてほぼほぼないから見つけた覚醒者だけが入る所ね。だからあなたも家に招待状が届くはずよ。」


「なるほど。……ありがとうございます。ところであなたの名前は?」


「私は九条朱里よ。おそらくあなたが通うことになるであろう覚醒者学校に在籍しているわ。だからまたこんどあうでしょう。」


「そうですか。なら今日のお礼は今度返させていただきます。」


「そう。待ってるわね。じゃあまた会いましょう。」


 そういい彼女は去っていった。




 いや〜助かった。俺のスキルは強いけど癖があるからな。


 それにしても覚醒者学校か。普通ではないだろうけどきっと俺よりも個性的なやつらは沢山いるだろうし彼女にお礼もしないとだから行くしかないかな。


 それにしても彼女のスキルは相当えげつないな。

 いや、俺の能力も大概だけど動きを止められるのは反則だろ。


 あれか?いわゆる最強系スキルってやつ。それとも強いと思っていた俺のスキルが弱い方だったりするのか?


 まぁそういうのも含めて覚醒者学校に通えばわかるか。


 行くまでにもっとスキルを把握しとかなきゃな。



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