第5話 僕も同じだよ②
9:00
妹さえまだ起きている時間であったが、自室にこもり布団をかぶった。
昨夜は興奮して眠れなかったこともあり、僕はすぐさま深い眠りに誘われていった。
「お兄ちゃん、もう寝ちゃったよ〜。」
部屋の外にいびきが漏れていたのか、妹の声がかすかに聞こえていた。
〜〜〜〜
「おぉ、勇者よ、よくぞ戻られた。」
「先日の戦いは見事であった。早くも勇者として浄化の力を発揮させたようだな。」
「そなたの聖剣もさぞ喜んでいることであろう。」
「だがっ!、勇者に休息はあらず。」
「鬼の頭目である竜王を倒す日までは、何があろうとも戦い続けるのだ。」
「さぁ、行け勇者よ。」
女神に言われても腹は立たないがこの爺さんに言われると、なぜだか腹が立ってくるのは、多分彼が男だからなのであろう。
やはり、先日と同じ町だ。
教会に女神像はあったが、先日と違い彼女が語りかけてくることは無かった。
巨大な像の足元から、彼女の大事な部分を見上げる。
『美しい・・・。』
宇宙の神秘に目を細めてまぶし気に見上げていると、そこから大量の液体が僕をめがけて降り注いできた。
生温かいその液体は、僕の全身はおろか、見上げてパックリと開いていた口内にも容赦なく注ぎ込まれてきた。
少し塩味のするその液体は、飲料として無限のパワーがあふれる聖水のようだ。
そして、べっとりと浴びた全身から聖剣に向けて気が送られ、みるみる硬度が増していった。
それは一瞬の出来事であったが、周囲に水滴はついておらず、教会にいる誰もその事に気づいていないようであった。
ただ、僕の身体にだけは女神の香りが愛おしく染み付いていた。
『さぁ!行こう!』
腰の聖剣がいくべき道を指し示しているような気がする。
今日は森だ。
女神の香りと聖剣の導きであろうか、迷いは無かった。
進むにつれて木は林になり、薄暗く深い森になっていった。
明るい日差しの届かない、昼間でも暗い森はしっとりとした地面が所々でぬかるんでいた。
背後でパキリと小枝が音を立てた。
振り返った木陰に、森と同色の緑のフードを深く被った人型の生き物が立っていた。
その手にはぐねりと曲がった杖を持ち、その中心には青白く輝きながら回転する宝石がはめ込まれていた。
気付かれた事を察したこの生き物は杖を高くかかげ、なにかをつぶやいた。
漫画のように、この杖から何かが出てくると思ったが、
大きな火の玉が真上から落ちてきた。
気付いた時には、すでに僕の直上でその炎は燃えていた。
ドンッ!
炎が爆発音とともに僕を押しつぶした。
僕の学生服も下着も含めてが、地獄の業火にて跡形もなく消失していた。
教会で女神の聖水を浴び、湿り気を帯びていなければ、僕の肉体もおそらく灰と化していたのではないだろうか。
緑のフードの生き物は、むき出しになった僕の股間に垂れ下がる聖剣を見て、明らかに動揺していた。
『僕を勇者だと知らなかったのかもしれない。』
その生き物は、何度も僕と聖剣を、恥じらいながらもチラチラと見つめてくる。
聖剣が反応している。
『女の子なのか?』
『鬼と化した女の子なのか?』
戦い方も助け方も分からなかったが、昨日の〇〇さんの件もあるのだ。
この子を見捨てては行けなかった。
走り寄る僕に彼女は杖を振り上げた。
激しい稲妻が杖の先端からほとばしった。
しかし、その稲妻は僕の聖剣が避雷針のように、ブルブルと揺れながらことごとく吸収していく。
そればかりか、稲妻の痺れが聖剣に金剛力を与えていった。
僕は彼女の杖を掴み、緑の衣をグイッと引きむしった。
衣の下から日焼けのない白く透き通るような素肌が広がっていく。
「あっ、〇〇さん!」
フードの下から、いつも本を読んでいる物静かな少女の顔が現れる。
彼女が纏っていた唯一の衣類は、僕がこの手で握っていた。
胸を隠して後ろを向いた彼女の背中からお尻にかけてのラインがまばゆいほどに輝いている。
見とれている僕に、彼女は振り返って叫んだ。
「私のことも見てよ!!」
その瞳には涙が浮かんでいた。
「あぁ、もっと良く見せて。」
僕は彼女が隠している腕を取って小さく膨らみかけた胸を熱く見つめた。
僕はゴクリとつばを飲み込んでその先端を口に含んだ。
「あッ、あぁ・・・」
甘い少女の声が僕の頭上に聞こえる。
僕は立ったままの体勢で彼女を抱き寄せ、聖剣の切っ先を彼女の秘密の部分にあてがった。
まだ幼さを残しているとはいえ、男女の背丈はこの頃から変化をみせる。
僕は腰をかがめながら彼女と見つめ合った。
白い肌に現れた花のような口唇を食べるように塞ぎ、柔らかな舌先を絡める。
「もう、寂しくはさせない・・・。」
口唇を離して彼女に囁き、ギュッと引き寄せた時に聖剣が大きく震えた。
彼女が愛おしかった。
白く輝く彼女が、光の中に包まれていく。
丸い光の輪の中で、彼女は僕に向かって何かを囁いていた。
『あ・り・が・と・う・・・』
確かに僕にそう言っているように見えた。
ゆっくりと弾けるように、光るシャボン玉は消えていった。
なんだか暖かい気持ちになっている。
〇〇さんと同じく僕も現実の世界に引き戻されているようであった。
〜〜〜〜
ぬくもりが冷たくなって僕の下腹部に触れている。
今日も夢精をした。
妹にバレないように早く洗わなくてはいけない。
夢の後には現実が待っている。
勇者に休息は許されない。
僕も同じだよ 完
猛毒に揺られて① に続きます。
☆★☆★☆★☆★☆★☆☆★☆☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆☆★☆☆★
初めての中編に挑戦です。破綻してても許してね。
☆私は褒められて伸びるタイプ♡ 〜低評価は徹底的に塩対応!〜
☆素敵なコメントといいね!待ってます。
第3章 猛毒に揺られて① に続きます。
9月25日(水)の7:00に更新予定です。
中学生男子は、学校に行く前に必ず読んでくれよ!
友達への宣伝もお忘れなく♡
rabao
☆★☆★☆★☆★☆★☆☆★☆☆☆★☆★☆★☆★☆★☆☆★☆☆★
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます