第3話 旅立ちの朝に〜密かに洗うパンツ〜 ③
不意に女神が消えて、街の人々が僕を見つめていた。
「大丈夫か?・・・ずっとよだれを垂らしていたが・・・?」
心配をしてくれるのだが、ズボンを下から押し上げているのを至近距離で見られるのは恥ずかしかった。
「大丈夫です〜!」
叫びながら教会をあとに駆け出していく。
女神が言っていたように、女たちは鬼になっているのだろうか。
確かにこの街には、女性が少ないように思えた。
僕は、城門を出て街の外に出てみる。
城門の外には草原が広がり、右手には森、後方には海が広がっていた。
守りやすそうな地形に王城が築かれていた。
どこへ行く宛もないが、迷わないように森には入らずに草原を歩いていく。
特になにもない平和なピクニックだったが、突然くさむらがガサガサと動き、グニョリとした水状の粘液が若干の硬さをもって、異様な動きでこちらに迫ってきた。
僕は身構えるが、喧嘩はおろか何かと戦った事など一度も無かった。
恐怖で足がすくんで、もつれながら倒れた。
逃げることすらできなかった。
ズルリと動く粘液が飛び上がり、僕の身体にまとわりついた。
粘液状の魔物に顔面を覆われた時に、透明な姿の奥に知った顔が浮かんでいた。
『!?、◯◯さん?』
粘液が僕の衣類を溶かしていく。
全身の素肌を粘液の中に包まれた僕は、必死で彼女の名前を叫んでいた。
僕は、隣に座っている女の子の横顔が好きだった。
教室で外を見るふりをしながら、何度その子を見つめただろうか。
息ができなかった。
もうじき死ぬのかもしれなかった。
衣類の溶かされた裸の身体が、僕の心も裸にしていくようであった。
「〇〇さん、ずっと好きでした!」
最後と思うと普段言えないような本音が口をついてでていた。
僕は声にならない心の叫びを、粘液におぼれながらモガモガと叫んでいた。
どうせ最後なら、〇〇さんとの思い出の中で死にたかった。
その横顔に見える粘液を舐めあげて頬にキスをする。
つんとした薄い口唇は、どんなに素敵なのであろうか。
死ぬ前に抱きしめて、正面から彼女の口唇に思い出のキスがしたかった。
僕は最後の力を振り絞って、粘液内の〇〇さんの横顔を僕に向ける。
はじめて真正面から彼女を見つめて、口唇を重ねながら舌を粘液に絡めた。
粘液の中に包まれた僕の下半身を、彼女の粘液が律動させるように柔らかく包みこんでくる。
『求められている。』
そう思った時にこの粘液が愛おしくなり、僕は彼女の名前を呼びながら粘液を抱きしめていた。
衣類を溶かされた僕の腰に下げた聖剣から、彼女の中に僕の粘液が勢いよく放たれていった。
まるで魔法が解けるように粘液が固化し、何時もチラチラと盗みいている女の子に変わっていく。
ふたりとも何も無い、自然な姿だった。
水気を帯びた美しい〇〇さんの裸体がそこに現れていた。
『好きだ!』
彼女と夢のようなひと時を共にした僕が、勇気を振り絞って告白をしようとした瞬間に、彼女の身体は光のシャボン玉に包まれ、溢れる光が弾けるように消えていってしまった。
草むらに放った僕の粘液だけが、朝露のように白く輝いていた。
景色が歪んでいる。
今、僕も夢の世界から現実の世界に引き戻されていくようであった。
冒険の充実感と共に現実の切なさが実感として下腹部に感じられている。
ゆっくりと覚醒していく僕のパンツは、今日もしっとりと冷たく粘液で濡れそぼっていた。
旅立ちの朝に〜密かに洗うパンツ〜 完
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初めての中編に挑戦です。破綻してても許してね。
☆私は褒められて伸びるタイプ♡ 〜低評価は徹底的に塩対応!〜
☆素敵なコメントといいね!待ってます。
第2章 僕も同じだよ ①に続きます。
9月23日(月)の7:00に更新予定です。
中学生男子は、休みだけど遊びに行く前に必ず読んでくれよ!
友達への宣伝もお忘れなく♡
rabao
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