9.Endroll
街に出れば人がいる。そばにいてくれる人が誰1人いない今、誰でもいいから人間を探していた。
今さらになって思う。
なぜ、私は普通でいられるのだろうと。
周りの大切な人は皆、死んでしまったのに私はいつになっても死ねない。感染率99%ならすぐにでも私にうつってよ…致死率90%ならどんなにひどくてもいいから私を殺してよ…
なんで、私だけ……
早く大切な人達とあの世で会いたい……
1人泣き出しそうになったが自分のプライドがそれを抑止した。
もうそろそろ来てくれないかな……
蒼は私の残り香を探し求めようとするだろうか、少しでもいいから覚えていてほしい。
諦めが悪いのは自分でも分かっていた。
けど私からの最後の言葉だけでも受け取って…
歩いても歩いても、街の光はなかなか近づかなかった。ずっと、届きそうな距離にあるのに。
結局私は生きたいのか死にたいのか自分でも分からない。けど……
また会えるなら蒼に会いたい。
それがどこであったとしても……
街に入るあと一歩のところで力尽きたのが
私の最後の記憶となった。
東雲美咲の人生はエンドロールを迎えようとしていた。迎えられるのは自分一人しかいないけど、やけに華やかなカーペットを歩かされていた。カーペットの色は…これは赤かな?
人生の終わりでレッドカーペットを歩けるなんて、恵まれた最期だ。
一人ぼっちのエンドロールを今、歩き出す。
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