8.Losing Everything

こうなることは予想がついていた。

それが所詮私の運命なんだ。

結局最後の最後で、関わってきた人全てを奪われる、そういう運命……

けど、考えたくなかった。

だから、もしこんなことになったときのことは決めていなかった。

これから、どう生きていけばいいのか、、

分かるはずもなかった。





30分が経ったころのこと、

車に帰ってこない蒼が全てを物語っていた。

そろそろいろんな意味で落ち着いたのだろうと、恐怖も何も感じずに墓地へと入っていった。

手前のブロックは特に争った形跡もなく、少し不思議に思った。殺すって……どういうこと?


もう日が暮れようとしていた。墓地で夜を明かすのはさすがに、気分が悪い。

無論、その近くに止めてある蒼の車の中も墓地の空気が漂ってきて気分が悪かったので、街へ歩くことにした。


蒼のあの質問が今でも分からない、大通りを横切りながら考える。

最早、蒼という存在自体が何を意味していたのかさえ、全ての行動、言動が理解できない今となっては知る余地はない。

ただ、絡まった記憶の中で唯一そうかもしれないと思えることがある。

あの時、蒼は、もう何も失いたくない、と言った。その言葉だけが抽象的な要素のない言動だった、そういうことでもない。

妙に変な感情を抱いた、そういうことでもない。

けれど、あの言葉は蒼がまだ生きてるということを示している気がするのだ。


もう何も失わないために蒼は自分から失うものを消した。失うものなんて、最初から無ければ失わずにすむのだ、そう考えたのだと。

思い返せば私を突き放す言動全てが、その気がした。

きっと、私のそうであってほしいという希望が脳にそういう解釈をさせてるであろうことは分かっていたが、

分かっていても……


だいぶ、歩いた。

そろそろ、街の光が近づいてくる頃だ。

誰が灯したものでもないが、今はその光でさえ、私の心の傷を癒やしている。

今さらなんだ、と離れた墓地を振り返る。

何もないし、誰もいない。そんな墓地と街を結ぶ通りの中央に1人佇む私。

  はぁ、なんだったんだろ私の人生って。

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