第40話 同期とゲーム練習②

「おラおラおラー」

「センカ、1キル。決め手は青魔法」

「もうっスか!? 速いっスねー」

「もしかして、このゲーム、やり込んでる?」

「始めたばっかだケド、ゲーム自体はそこそこ得意だヨ。でもツラたん先輩には勝てる気しないナー」

「そんなにすごいんだ。ツララ」


《センカちゃんほんと上手いな》

《先輩と競っても5本指くらいには入りそう》


「シューコもそんな得意じゃないし、本番はセンカを中心に動くのが良さそうね……っと、やっば!?」

「あっシューコさん今フォローにぃ……あれ?」

「シューコ、2キル。ちょっと見逃した」

「すぅ、危なかった……。あ? 何見てんのよ異迷ツムリ」

「シューコさん今なんか凄いことしてませんでした? 属性変えながら2連続キルってぇ……」

「あー……別にたまたまでしょ。敵の体力ミリだったんじゃない?」

「いやでもすご……」

「たまたまだから。分かったな?」

「あっはぃ……」


《なんでそこで圧かけるんw?》

《今の結構神プレイじゃね? ソロ配信じゃ分かんなかったけど実力者?》

《シューコちゃん褒められるの苦手そう》


「あ、ツムリ死んだ。下手くそ」

「この実況暴言吐いてくるんですけどぉ……」

「にしてもダークとツムリは想像以上に酷いナ」

「未だに0キルって……やる気あんの?」

「ごめんなさぁい」

「いやー自分ゲーム苦手なんスよね。現実のキャラコンの方が得意なくらいっス」

「それはそれでバケモンだナ」


《現実のキャラコンってなんだwww》

《ゲームキャラより動けたらやばいでしょw……え? できるの?》


「ティア見てたんでしょ? 役立たず二人は何がダメだった?」

「んー、ダークは魔法全然当たってない、ごみエイム。でも立ち回りは良かったかも?」

「精進するっス……!」

「ツムリは、オロオロしてた。魔法は当ててたけど、敵に気づかれて、背中向けて逃げて。ざこムーブ」

「辛辣過ぎませんかぁ……? もうちょっとオブラートに包むとかぁ……」

「雑魚が物申してんじゃないわよ。対策立てやすくなったし助かるわティア」

「対策って? なんか考えあるのカ」

「まあね。正攻法で使えないなら特化させるしかないでしょ」


《シューコの姐さん今日キレキレだなw頭も暴言もw》

《デビュー仕立ての猫被ってたシューコさんが今や懐かしい……》

《先輩相手ならまだ猫被ってるけどな》


「今回のマジクラウォーのルールだとチームに1つだけ回復の杖渡される。つまり一人がヒーラーやることになるわ」

「わぁ重要そうな役割ですねぇ。チームの配置覚えて体力管理して、一番死んだら駄目な立ち位置ですしぃ」

「他人事みたいに言ってるけど、消去法であんたがやるしかないわよ」

「はぇ……? わ、私ですかぁ!? むむムリですぅ!!」

「あー確かニ。キル役最低二人は欲しいからセンカとシューコは余裕ないシ、ダークはヒールのエイムも合わんだろうしナ」

「そういうこと。分かったら 黙って やれ♡」

「ひぃん……」


《こーれは逆らえませんわ》

《ヒーラー奴隷決定》


「心配しなくてもそこまで期待してないわよ。あんたはとにかく敵に見つからないよう潜伏して、ダークだけ回復しとけば良いから」

「えぇ? ほんとにそれでいいんですかぁ?」

「ん? 自分役に立てそうにないんスけど回復必要なんスか?」

「当然役に立って貰うわよ。タンクとしてね」

「タンク?」

「壁役カ。面白そうだナそれ」

「ダークは基本強そうな敵に張り付きなさい。で耐えることに専念。回避しつつ防具の属性も変えてダメージ軽減。攻撃はしなくていいわ。当たらない攻撃より1秒でも長く生き残ったほうがマシよ」

「攻撃しなくて良いならまぁ、どれだけ耐えれるかは分かんないっスけど」

「大丈夫よ。あんた反射神経は良い方なんだから」

「シューコさん……押忍! 自分頑張るっス!」


《4期生の長女》

《なんだこの有能上司》

《雇ってほしい。ボロカスにこき下ろされた後で優しくされたい》


「はぇー。シューコさんよくそんなに色々作戦思いつきますねぇ」

「は? このくらい普通だから」

「普通じゃないっスよ。シューコさんこう言っておきながら裏でメチャクチャこのゲーム研究してたんで」

「ちょ、ダーク!? あんた余計なこと……あ、違、大嘘吐いてんじゃないわよ!!」

「いやもう遅いゾ」

「シューコ、実は真面目?」

「あー……ほんと最悪、イメージが崩れるじゃない。こんなの営業妨害よ……」

「いやいやそれだけ努力できる人の方が凄いっスよ。自分はシューコさんのこと尊敬するっス」

「っるさいわね……まあ。一応ありがと」


《……てぇ?》

《エビクモキテる……?》

《ラブコメの波動を感じる》


「……さっさとくっつけヨお前ら」

「結婚式の日取りはいつですかぁ?」

「仲良し、良き」

「おい外野黙っとけ。もー……変な噂流れたらダークのせいだから」

「え? 変な噂ってどういう意味っスか?」

「なんだコイツ。わざとじゃないなら相当なクソボケだロ」

「ラノベ主人公気取りですかぁ? 絶対ハーレムには参加しませんよぉ。シューコさんに刺されそうですしぃ」

「ダークは、無自覚たらし、把握」


《これは察し悪い系主人公ですわ》

《そのうち難聴も患いそう》


 軽口を言い合いながらイベント本番に向けて作戦を立てる。

 数時間を経て充実した練習時間を送ることができた。


「まあこんなとこね。最低限勝負にはなるでしょ」

「秘策もいくつか用意できたしナ。それでティアは練習になったのカ?」

「うん。よくわかった。ティアがまだまだってこと」

「まあ……あんまり実況らしい実況は聞けなかったっスね」


 実のある練習ができたメンバー達とは対象的に、ティアは実況のコツを掴むことはできなかった。

 ただ、課題を見つけることはできた。


「ティアには、解説するだけの知識がない。このゲームのシステム、勉強しないといけない。シューコ、今日暇?」

「今日は無理ね。先輩にお呼ばれしてるし」

「うーん。じゃあ、ツムリで良い」

「はぁい?」


 ゲームの勉強、と言っても独力では既に限界。

 そのためティアは同期に頼むことにした。

 今日の配信で最もゲーム知識に長けていそうだったシューコが最適に思えたが、予定があるなら仕方ない。

 よって事前に凝った家を建てるなど、次点で詳しそうなツムリを頼ることにした。


「マジクラ教えて欲しいから、うち来て。今日」

「ふぁい…………はいぃ!?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る