9.
四之宮夫妻の依頼を受けてから、さほど経ってない頃。
生きるために昼食を買いに行き、自身の部屋があるマンションのエントランス付近に備え付けられているポストを何気なしに中身を確認する。
大概自分に届けられるのは、光熱費など生活に関係がある請求書や、勝手に入れられるチラシが主であるが、稀に手紙が届くことがある。
先日の四之宮夫婦からの手紙だ。
自室に帰り、早速封を開ける。
面と面向かって言われた『ありがとう』の言葉がたくさん綴られたお礼の手紙。
『子ども中心の生活となって、毎日慌ただしい毎日を送り、初めてのことだらけで不安と悩んだりもしますが、子どもの寝顔を見ると、気持ちが吹っ切れます。本当に産んでくださってありがとうございました。お身体に気をつけて』
母親に抱かれた産んだ子どもの隣に主人が並んで撮られた写真が同封されていた。
順調に育っていて何よりだと思い、もう一通の手紙の差出人を見た。
『
聞いたことがない名前ということから、代理出産の話なんだろうと思い、封を開ける。
製薬会社の代表取締役で、アルファの女性と結婚したが、やはりアルファ同士であるためか、なかなか跡継ぎの子が身篭らなく、辟易していた矢先に知り合いから姫宮の存在を知り、是非とも代わりに産んで欲しい。
要約するとそのような内容のものだった。
やっぱり、代理出産の話だ。
先日の四之宮夫妻もそうだが、男女の性別関係なく、アルファ同士は元々プライドが高く、性行為に及ばないことが多い。仮に及んだとしても、逆に身篭る方が奇跡に近いと言われている。
そういった特徴もあり、代理出産を生業としている姫宮に依頼することは珍しくない。
そういう家柄は大変だなと、他人事に思いながらも、記載された宛先に連絡をした。
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