第3話 魔王、絶望する
え?なんで?
なんで転生したのに元の世界にいるの?
転生失敗だよね?ねぇ?
「アドラリア様、調子はいかがですか?」
リリーが話しかけてきた。
我、今赤ん坊みたいだけど、言葉話せるかな?
「あ、あー。リリー、聞こえるか?」
「アドラリア様!生まれたばかりなのにお話できるのですね!」
聞こえるみたい。
「えっと…調子はどう…だっけ?」
「はい!」
「最悪の気分だよ!絶望のドン底だよ!」
「なぜです!?私たち魔族のためにお戻り下さったのではないのですか!?」
「んなわけあるか!我はここより平和な世界に転生したかったんだけど!」
「この世界の何が不満なのです?アドラリア様は魔王として魔族の頂点に君臨し、人間たちの畏怖の象徴となっているのですよ!」
「それがダメなんだって!我が復活したらまたあの勇者一行戻ってくるじゃん!」
「一度は戦った相手、2度も同じ手は食わないでしょう?返り討ちにするのみです」
「それが我、今生まれたばっかじゃん?めっちゃ弱体化してるよ?今勇者と戦っても一方的にボコボコにされるよ?」
「それもそうですね…アドラリア様が復活した事実が人間に知られなければいいのですが…」
今、戦っても勝てるわけがない。
それに、我はもう平和主義者だ。
戦いたくない。
でも、我が復活したと分かれば勇者はすぐに戻ってくる。
どうすれば…あ、そうだ!
「我、勇者に正体隠すわ!」
「はい?」
「勇者と戦うのは怖いので、勇者には隠密で生活します!」
「えぇぇぇ!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます