かわいい
車に荷物をつんで、二人のお気に入りの曲を流してオレは運転。
芽依は、鼻うたをふんふんと口ずさんだ。
「あ、そうだ。芽依、そこのバッグの中に特製ドリンク用意してきたから、喉乾いたらそれ飲んでね。」
と、信号待ちの時にドリンクを差し出した。
「わぁ、ありがと」
水筒の蓋をあけて、早速ゴクゴク飲む芽依。
「うまいっ‼︎」
「芽依って…ほんとなんでもからだに取り込むな。好き嫌いとかないんだっけ?」
「あー、うん。どうだろ?ない…っけ?わかんない!でもさ、とにかくさとるの作るものがなんでも美味しいから、すぐからだに取り入れちゃうんだよね。あと、怠さがなくなるの!魔法の料理つくる天才だよね。」
なんて褒め称えてくれる。
そういう前向きなところに、ほんと感心するわ。
しばらく車を走らせて、途中でトイレ休憩に寄った。
美味しいものがたくさんあって芽依は、目を輝かせている。
「わぁ、どれも美味しそう!」
「うん、たしかに。」
「でも、だーめ!旅館に着いたら健康ご飯が待っているんだから!お腹ぺこぺこにしておこ!」
「うん、芽依の言う通りだね!」
芽依が前ほど間食をしなくなった。
前までは、主食がお菓子みたいな感じだったのにな。
飲み物も、甘いものじゃないと飲んだ気がしないって言ってたのに…嘘みたいに甘いもの飲まなくなったし。
なんなら、今まで飲んでいたジュースを甘ーい…やばーって言いながら水で薄めている姿をみると、ほんと味覚変わったんだな〜って改めて思う。
ただ、それが美味しいのかは定かではない。
芽依は、沁みるーって言ってるけどね。
「芽依!」
車に戻る途中、芽依をオレは呼び止めてパジャリと写真を撮った。
「えー、さとるー…不意打ちとかずるいんですけどー?」
「そ?なら次から気をつけるわ、てか…この写真かわいい」
「えっ?どれー?」
写真を覗き込んだ芽依の目が一瞬点になった。
なぜって、オレが撮ったのはもちろん芽依なんだけど、見せたのは芽依のバッグのキーフォルダーをズームしたやつだったからだ。
「えっ…これは…ほんとにかわいい」
「だろ?ってか、ほんとにかわいいのは、こっちでーす」
と、ちゃんと芽依が写ってる写真を見せてあげた。
「あー、ほんとだわ。かわいい」
「…自分でいうか?普通…?」
「うん、言うよ!だって…さとるがわたしのこと、かわいいって言ってくれない…わけなくない⁈最近よくわたしのことかわいいって言ってくれるよね。」
「うん。てか、昔からずっと言ってる気がする…」
…
「たしかに‼︎ほんとだ‼︎いっつも言ってるわ‼︎食べてる顔がかわいいなぁとか、お菓子頬張る顔がリスみたいでかわいいって言ってくれてるっけね。言われすぎてスルーしてたわ…」
…
「スルーって…」
「ね、もったいない…」
もったいないって…
そういう問題か⁇
ま、いっか。
そんなオレたちの会話を偶然聞いていたおばあさんが、
「おやおや、新婚さんかい?仲がいいんじゃねぇ。わたしもかわいいってよう言われるんじゃよ〜、くふふ」
と、笑っていた。
楽しそうなおばあちゃんだ。
「あら〜、わたしと同じなんですね〜」
と、芽依がおばあさんに向かって微笑んだ。
芽依…
芽依も、おばあさんになってもかわいいよ。絶対に。
オレが芽依をかわいいままのおばあさんでいられるよう、サポートするからな。
頑張ろうな、芽依。
オレは心でそっと誓った。
「あれ、さとる目赤くない?」
‼︎
泣いてるなんて思われたら芽依が辛くなるだけだ。
なのでとっさに、
「あー、なんか目がゴロゴロするんだ。ちょっとトイレの鏡みてくるね」
といい、トイレで気持ちを入れ替えるかのように、バシャバシャと顔を洗った。
続く。
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