マッサージ

 気を取り直して、笑顔で車に戻ると芽依もにっこりしながら、

「おかえり」

 って返してくれた。

 

 

 おかえりか。

 

 

 …

 

 オレは、芽依があと一ヶ月しかって思うと…とても辛くてしんどかったけど、一番辛いのは芽依なんだからと、なんとか気持ちを持ち直した。

 

 

「さ、もうすぐで着くよ!」

「やったぁ!」

 

 明るい気持ちで車を走らせた。

 

 

 

 ナビがしっかり案内してくれたおかげで、一時間で着くことができた。

 

 

 旅館は、とても風情あふれる建物でなんだか、懐かしく感じて落ち着く雰囲気だった。

 

 

 旅館では、まずウェルカムドリンクならぬウェルカム足湯がまっていた。

 

 たしかに、あしが蒸れていたし長時間座っていたこともあり、むくんでいたので足湯は気持ちよかった。

 

 

 さっぱりしたあとに、今度こそウェルカムドリンクが待ち受けていた。

 

 

 しかもそのドリンクが白湯だ。

 

 程よく温度調整されていて、とても飲みやすかった。

 

 普通の水とは違い、温泉水の水なんだそうだ。

 

 水に違いなんてあるのかと思っていたが、なんだかあっという間にゴクゴクと飲んでしまった。

 

 

 芽依も、いつもはこんなにゴクゴク入らないのに、めっちゃ飲みやすいと喜んでいた。

 

 

 それからお部屋へと案内され、お部屋へ入ると…お部屋には、大きなベッドが二つ並んでいた。

 

 早速二人でベッドにダイブ!

 

 

 めっちゃフッカフカで、雲の上にでもいるかのような心地よさ。

 

 

「やっぱり枕とかって大事だよなー」

「ねー、睡眠って大事っていうもんね〜」

 と、二人でモフモフのフカフカを堪能した。

 

 

 そしたら、芽依がいきなり

「あ、テーブルにお菓子があるよ〜」

 と、テーブルのお菓子に飛びついた。

 

 

「ふむふむ、無添加手作りお菓子だって〜。食べよ?」

 嬉しそうにベッドのオレを覗き込んで、早く食べよ?的なワンちゃんの眼差しを向けてくる芽依。

 

「そうだね、食べよ食べよ」

 

 オレもベッドから降りて甘味を堪能させていただいた。

 

 

 美味しい!

 そして、なんてお上品なお味。

 

 

 染み染みだわ〜。

 

 

 二人で染み染みして、温泉水飲んで一休み。

 

 

 これから夕飯まで、まだまだ時間がたっぷりある。

 

 

 部屋でヨガビデオみてヨガしてもいいし、ストレッチしてもいいらしい。なんなら、部屋いがいにも、きちんとした運動部屋もあるらしい。

 

 でも、オレたちは部屋のストレッチグッズを軽くやって、先に温泉に入ることにした。

 

 

 温泉から戻ると芽依は、まだ戻っていなかった。

 

 

 まぁ、髪の毛乾かすのって時間かかるもんね。

 

 

 てなわけで、のんびり涼んでいた。

 

 するとガラッとドアがあき、芽依が

「ドライヤーめっちゃいい‼︎すぐ乾いた‼︎」

 と、興奮しながら帰ってきた。

 

 

「そりゃよかったね。てか、その手に持っている紙は何?」

 と、手に持っているチラシ?らしきものを芽依から見せてもらった。

 

 

「ツボマッサージ?」

「うん‼︎からだにはたくさんのツボがあるでしょ。そこを押すといいらしいんだ。だから、ほらさとる寝て‼︎」

 

 ゴロンと転がされ、いつのまにかマッサージタイムに突入した。

 

 

 手とか気持ちよくてさ〜、うっとりしてたんだけど…問題は、あしだった。

 

 

 めっちゃくすぐったい‼︎

 

 それに、なんか…太ももとか…そんなとこ触られちゃったらね…?

 

 もう、限界がやってきてしまいますって‼︎

 

 

「はい‼︎ありがとう‼︎スッキリしまくったから、今度は芽依が寝て‼︎交代‼︎」

 

 オレは、半ば強引に芽依と交換した。

 

 あー、危なかった。

 

 このままずっとマッサージされていたら…どうなっていたことやら。

 

 

「じゃ、はじめまーす」

「はーい。お願いしまーす」

 

 

 モミモミ、クイクイ

 

 

 …

 

 

 待って‼︎

 

 ヤバい…

 

 

 芽依の肌…めっちゃすべすべでもちもちなんだが⁈

 

 

 いいんか⁉︎

 

 オレがこんなに芽依の肌に触れまくって⁉︎

 

 

 マッサージしながらも…めっちゃ後ろめたい気持ちになるのでした。

 

 

 あし…もやるよね…?

 

 

「あの…芽依、オレが…あしも触って…いいのかな…?」

 恐る恐る聞いてみた。

 

 そしたら、

「マッサージじゃん。なんかその言い方だと、キモいんだけど〜」

 って、笑われたよね。

 

「あー、そうだね。ハハッ」

 

 ってなわけで、あしもマッサージしますとも。

 

 

 …

 

 浴衣をめくりマッサージしようとしたんだけど…

 

「浴衣めくらなくてもよくない?」

 なんて言われて恥ずかしかったよね…

 

 だからそっと戻したんだけど…でもさ、やっぱり…

 

 浴衣の上からでも、めっちゃいけないことしてるみたいな罪悪感ーー‼︎

 

 

 

 これは、なんの時間ですかー‼︎状態でした。

 

 …

 

 そしてやっとこさ、夕飯ですよのアラームが鳴りマッサージを終えて夕食タイムへと突入するのでありました。

 

 

 

「あー、気持ちよかった〜」

「あ、うん…。ならよかったね…」

 

 旅館で、まさかこんなことになるなんて思ってもいなかったな…。

 

 大変貴重な体験をさせていただいた。

 

 

 オレもすべすべ肌を堪能させていただきありがとうございます。と、心の中でお礼を述べさせていただいたのでありました。

 

 

 

 続く。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る