ボスリムの城塞都市(2)
メウリトリアからの使者を"自称する"男が、郊外の建物から領主の館へと連れられた。彼には護衛として防衛隊の兵士が常にくっついていたが、実際の命令は男の見張りだった。
「
キレレウは大げさに平伏した。
大広間の空間を大きく使って、得体の知れない使者と領主ハルネの間には、会話をするにはいささか遠すぎる距離を確保していた。それでもハルネは男から漂う、異国の、落ち着かない香の匂いが分かった。
キレレウという男、年齢は三十を超えないくらいだろうか。茶色の長い髪を後ろで縛って一本にしている。背は高く体格は痩せて鼻が高く、女に困ったことがなさそうな優男だった。ただし、顔には奇妙な化粧が施されていて、顔面を分厚く覆う白粉の上に青や赤の線が走っていた。
キレレウの平伏するすぐ隣には、彼が持ち込んだ、木で編まれた直方体の大きな背負いカゴが置かれていた。
郊外の家を出るとき、護衛の兵士は大荷物を置いていくようにキレレウに言ったのだが、彼はそれを頑として受け入れなかった。ハルネとの謁見を前にして、荷物を預かろうとする兵士の言葉も断固として跳ね除けた。
曰く、この箱の中には外交上の機密事項が入っているため、少なくともボスリムが正式に同盟に同意するまでは絶対に見せられない、と。
友好的に同盟を結ぼうというのであれば、使者から荷物を無理やり奪うということもできない。防衛隊はしぶしぶではあるが荷物の同席を認めた。
「遠いところからはるばるご苦労でした」ハルネは威厳を演出するために、意識してゆっくりと言葉を紡いだ。「書状は確かに受け取りました。申し出については熟慮の上で改めて回答いたしますので、しばらくこの街にご滞在いただきたい」
「はっ。仰せの通りにいたします」
ハルネは隣にいるニーデに目配せした。ニーデが頷いて口を開く。
「ところで、キレレウ殿はアリアスタの包囲をどのように抜けられてきたのでしょうか?」
「――それは申し上げられませぬ」
キレレウはぴしゃりと答えた。
「それはなぜ」
と、老臣は表情を変えずに問うた。
「メウリトリア同盟陸軍秘伝の『包囲抜けの術』を使いました。同盟国以外に秘伝を漏らすことはは硬く禁じられております。ご容赦を」
再び大げさに平伏した。ニーデがすごい顔をしていた。
「あの。わたしからも、聞いていいかしら」
「もちろん。領主閣下」
「その化粧にはどういう意味があるの?」
「これ、ですか?」意外な質問だったのか、キレレウは言葉を詰まらせた。「――大した意味はありませぬ。領主閣下のお気を煩わせるものではありませぬ」
「気にするなと言われると気になるわ」
「化粧をしている方が相手に強く印象付けることができます。そうすれば交渉を有利に進めることができます」
「納得したけど、それを交渉相手のわたしに話していいの?」
「構いませぬ。これは出まかせですから」
「全権大使が単身で来たのには何か理由があるの? 普通は護衛くらいつけると思うのだけど」
「何せボスリムは包囲されておりますから、ぞろぞろと従者を引き連れてくれば敵の目を引きますので」
「じゃあその荷物は? 目を引きたくないという割にその大荷物は目立つと思うのだけど」
ハルネはキレレウの巨大なカゴを指した。キレレウは撫でるようにカゴに触れた。
「全権大使には秘密にしたいことがたくさんあるものなのです」
「メウリトリアの援軍は今どこにいるの?」
「それは申し上げられませぬ」
「どうして?」
「もしボスリムがメウリトリアと同盟を結ばないのであれば、このまま密かに軍を下げます。ボスリムがアリアスタと手を組みメウリトリアを攻撃する可能性を憂慮するのは当然のこと……」
それ以後もハルネは質問を投げたが、キレレウはのらりくらりと回答して、核心からハルネを遠ざけた。
それでもなおハルネは質疑応答を続けようとしていたが、
「もう、そろそろ仕舞にしましょう」
と、ニーデが匙を投げて、使者との謁見は終わった。
「遠くからお越しになり、今日はお疲れのことでしょう。今夜はゆっくりとお休みください。ボスリムでの身の安全は、しっかりと保証いたしますゆえ」
ニーデの言う「護衛」とは、監視のことである。
「戦争のさなかに護衛の兵までつけてくださり、恐縮でございます」
ニーデの面の皮も厚かったが、それを皮肉で流したキレレウもなかなかのものだった。
かごを背負って退出するキレレウと、それを見張る「護衛」の兵士たちが居なくなったのを見届ける。
「本物の使節に見えた?」
ハルネが聞くと、ニーデはゆるゆると首を振った。
「怪しく思いますな。特に、包囲を抜けて入ってきたという点が怪しい。だいたい『包囲抜けの術』など聞いたこともない」
「……レプティス隊長の意見は? あの使者の印象は?」
謁見中もずっと無言で横に控えていたレプティスは姿勢を正した。
「はっ! ……わたしは過去にも、この街に来た使節を見たことがありますが、護衛もなしに一人でやってきた使節というのは見たことがありません。一方で、敵の包囲を抜けて都市に入るには、身軽な方が有利だという面もあると思います。そしてあの男の物腰は、わたしが見た限りでは、戦闘の心得があるように見えました。そのような点を考慮すれば、敵の包囲を抜けて入ってくるというのはあり得えないことではないと思います」
レプティスは慎重に答えた。
ニーデが鋭い目を向ける。
「だとしても、このタイミングでメウリトリアが突然同盟を申し出るというのもよく分からぬな。これまでにそういった前触れもなかったのに」
「……あの男の正体を探るにしてもメウリトリアへの返事を決めるにしても、時間は必要ね」
ハルネは結論を先延ばしにした。
その日の午後に行われた軍議でも、同盟に反対するニーデと同盟に賛成するアンギムの間で激しい論戦が起こり、他の家臣たちも巻き込んで家中を二分する対立となった。結局最後まで意見がまとまることはなく、やはり結論は出さずに次の会議へ先送りとなった。
翌朝早く、寝室のドアが激しくノックされる音でハルネは目を覚ました。
覚醒したハルネが真っ先に予感したのは、戦場で何か大きな動きがあったのだろうということだった。
寝起きの自分の顔を確認するのも惜しんで、すぐにガウンを羽織って部屋の外に出た。廊下では都市防衛隊の兵士たちが、領主が出てくるのを待っていた。
「敵の動きは?」
開口一番そう尋ねると、兵士は困惑した表情を見せた。
「では、何事です」
「はっ。ニーデ殿から、ハルネ様をすぐに大広間にお連れするようにと言われておりまして、何事があったのかは分かりかねます」
兵士の回答は期待外れではあったが、ハルネは言われたとおりに、兵士たちをともなって大広間へと急いだ。
大広間ではニーデとレプティスがハルネを待っていた。ハルネが到着すると、レプティスは素早く大広間の扉を閉めた。
「何事ですか」
「メウリトリアから来た使者殿が死にました」
「は?」状況が飲み込めずに聞き返した。「……誰がやったの?」
「下手人は不明です。護衛の兵士が、明け方に建物から煙が出ているのを確認しました。すぐに中に入ろうとしましたが、火はすでに勢い強く、中に入るのは不可能でした……。その後、隊員を招集して消火を行い、わたしもそのときに現場に合流しました」
「焼け跡はどんな感じだった?」
ハルネが待ちきれずに訊いた。
「……焼け跡で一番激しく燃えていたのが、暖炉のあった部屋です。おそらくそこが火元でしょう。この部屋の中央に焦げた死体がありました。いえ、正確に言うと、見つかったのは頭と腕と下半身だけでしたが。胴の部分には何もありませんでした」
「監視は火が出るまで何も気が付かなかったのかね?」
ニーデの、詰問に近い問いかけにも、レプティスは淀みなく答える。
「我が隊の兵士は、交代しながら夜通しで建物を『警護』していました。一晩中、人の出入りはなかったと断言しています」
「暖炉ということは、火の不始末で?」
「いえ、それにしては火が回るのが早すぎます。短時間にあれだけ燃えるのですから燃料を撒いたのだと思います」
都市防衛隊を指揮するレプティスは、火災現場の経験も豊富だった。
「ハルネ様、今は犯人捜しよりも、メウリトリアとの交渉です。あれが本物の使者なら、メウリトリアとは同盟どころか、戦争になる可能性もありましょう。この件、どうにかして取り繕うしかないですな」
「……ともかく、わたしたちだけじゃ知恵が足りない。家臣のみんなを集めて相談しましょう。それよりも私は、この犯人を放置しない方がいいと思う。わたしたちは今のところ何もわかってないし、真相を知ってる人間は、この街には犯人しかいないんだから」
「……アンギム殿かのう」
ニーデが、内心からこぼれるように言った。ハルネに相談もなく他国の使者を殺しそうな家臣といえばアンギムくらいしかいない。しかし老臣にしては迂闊な発言である。ハルネはそれを、肯定も否定もしなかった。
――直感はダメだ。街の命運がかかっている、そんなあやふやなものにすべてを預けることはできない。確信できる証拠が必要だ。
「レプティス、焼け跡に誰も立ち入らないようにして。それから、焼け跡を改めて調べるの」
「承知しました」
「昼までに結果をわたしまで報告するように」
「ではわしは家臣一同を集めましょう」
ハルネが同意して、その場は解散した。
昼ごろ、レプティスがハルネに謁見し、焼け跡の検分結果を報告した。報告にはニーデも立ち会った。
第一に、死体は建物と比べて明らかに激しく燃焼しており、建物の火が燃え移ったのではなく、燃料を死体に撒いて火をつけたのは間違いないという。
第二に、死体の胴体が消えていたのは、燃え尽きたのではなく、持ち去られたと考えるべきである。というのも、胴体部分は骨の一つも残っていないが、腕や腿の骨はしっかりと焼け残っていたから、胴体の部分だけがそんな高温になったとは考えにくい。そもそも、もし骨まで灰になるくらいの高温になっていたら、建物は跡形もなく焼け落ちていただろう、という。
「ということは、犯人は死体の首と左右の腕と胴体を切り落として胸部を持ち去ったってこと? 何のために?」
「現時点では不明です」
独り言のように口にした疑問に、レプティスは律儀に答えた。
そして第三に、キレレウが持っていた荷物が建物から消えている。
「昨日の謁見から建物に帰るとき、キレレウ殿が大きなカゴを持っていたことを護衛の兵士が確認しています。大きなカゴでしたから、もし高温の炎で焼き尽くされたとしても、燃え滓くらいは残るはずです」
「……見張りは本当に仕事をしていたんでしょうね?」
「無論です。護衛は二人一組で、夜中に交代がありましたが、その間も常に建物の出入りを監視していました。見晴らしの良い場所ですし、見落とすとは思えません」
兵士を弁護するレプティスの言葉に、自然と熱がこもる。
だとしたら妙な話だ。
犯人はどうやって建物に入って使者を殺したのか。煙のように人間が現れたり消えたりできるものか。
それは不可能だ。
それは不可解だ。
ハルネの背筋にぞわりとした感覚が走った。それが何なのか、ハルネ自身にも分からない。
「それから、これは補足になりますが。死体の肌や肉はほぼ焼け焦げていて、着ていた服は跡形もありませんでした。部屋の床には絨毯が敷いてありましたが、これも消火が終わったときにはほとんど灰になっていました。部屋には他にも机や椅子などの家具ありましたが、こちらはある程度は形を留めていました。ただ、火が天井に燃え移って、そこから壁にも延焼したので、建物自体はかなりのダメージを受けています。焼け跡から見つかったものは、死体以外はもともと建物にあったものばかりです。使者殿が持ち込んだものは見つかっておりません」
「……ハルネ様?」
「いや、うん」ハルネは自分の中の生理的な嫌悪を振り払った。「ともかく、もし使者を殺した人間がいるのなら、市内に潜んでいるのかもしれない。しばらくは市内の警備を強化しておくべきでしょうね」
「承知しました」
レプティスが力強く頷いた。
「ねえ、やってほしいことがあるんだけど」レプティスを退室させてから、ハルネはニーデに言った。「護衛をしてた四人から直接話を聞いてほしいの」
「……戦争を忘れて犯人捜しに耽るようでは、領民がどう思いますかな?」
「うん。でも、戦争を優先するからこそ、犯人捜しは重要だと思う。犯人をわたしたちで捕まえれば、それでメウリトリアと取引もできるかもしれない」
言ってから、ニーデの反応をじっと待った。
「……お考えがあるのであれば強くは言いますまい」
と、諦めたように言った。
「お願い。これは信頼できる人に調べて欲しいから」
「レプティス隊長がすでに調べておりますし、新しい発見があるとも思えませぬが……」
ニーデは最後までぼやいていた。
夕方から開かれた軍議は予想通り紛糾した。
「使者を殺したのは貴様だろうニーデ!」
「アンギム殿! そのような言いがかりはいくらわしでも見過ごせませぬぞ!」
「しかし使者を殺して得をするのは同盟に反対していた貴様らではないか!」
「ハルネ様の許しもなく軽挙妄動するわしと思うてか! わしとてボスリムの武人、暗殺などせずとも、同盟を反故にするなら堂々と使者を追い出すわ!」
「ふん、何が武人か。そう思っているのは自分だけだろうが。奸臣が、ハルネ様を操っておるわ」
「ほう、誰がそんなことを言っておるのかのう」
「皆そう言っている!」
「アンギム殿こそ、腰巾着を増やすのに忙しくて、忠勤がおろそかになっているようじゃの」
まさにその、アンギムの腰巾着からニーデへ罵声が飛ぶ。それを受けてニーデ派の家臣が罵声を返す。議論ではなく中身のない罵倒合戦がしばらく続いた。
「皆の考えは分かりました!」
ハルネが口を開いてからも、しばらくざわつきが続いたが、ニーデが口を閉ざしたのをきっかけに、広間は徐々に静寂を取り戻した。
「いずれにせよ当面はわたしたちだけでこの街を守らなければいけません。そのためには家中で団結する必要があるとわたしは考えます。皆には、これまで以上の忠節を期待します」
ハルネは一方的にそう言って立ち上がった。主君が立ち上がれば、それが軍議終了の合図だ。
一同も起立して、退室するハルネに頭を垂れた。
廊下に出たハルネをニーデが追いかけてきた。
「ハルネ様――」
「あの態度は何?」
と、ハルネはニーデを責めた。
「申しわけございません。しかしあのままアンギムらの好きにさせるわけには……」
「あんな言いがかりに乗せられるなんて、軽率よ。ニーデらしくもない」
「……ご期待に沿えず面目次第もございませぬ」
「……とにかく、あまりアンギムを刺激しないで。ただでさえ舵取りが難しいのに、あなたまで火種を煽るような真似は自重してよ」
ニーデは廊下に立ち止まって、いつまでも頭を下げ続けた。
そうだ、ニーデが殺しを命じたなんて、そんなはずない。ニーデがわたしを裏切るなんて、あり得ない……。
軍議の後、ハルネは日課の「見世物」に出た。
いつもの大通りを進むルートではなく、今日は海側の街境に沿って歩いた。日はどっぷりと暮れていて、ハルネの共をする兵士たちは松明を持って付き添った。今日に限って街外れを歩く領主の姿に、すれ違う市民たちは形だけの礼を示しつつも、ハルネが離れてからはひそひそと噂話に花を咲かせているのが分かった。
やがてハルネ一行は焼け落ちた建物の前に来た。使者が焼かれて死んでいた「殺人現場」だ。
「ここで待ってて」
ハルネは下馬して護衛に手綱を渡すと、通りから焼け跡に踏み入った。
護衛は困惑しつつハルネを追いかけた。護衛の早足に呼応して、松明で映されたハルネの影が揺らぐ。
焼け跡には柱と壁がいくらか残っているだけだった。焼け跡を注意深く見れば、部屋の間取りくらいはなんとなく分かるが、ハルネが分かるのはせいぜいその程度だ。まだ焦げた匂いがあたりに漂っている。生前のあの男が身にまとっていた異国の匂いは、ここにはもはや残滓もかき消されていた。
周囲には背の低い雑草がまばらに生えているだけで、木の一本もない。潮風に当たって木が育たないのだろうか。つまり、建物の周囲に身を隠す場所はなかったということになる。
建物は道に面していて、反対側は城壁に面していた。
城塞都市の海側の城壁は、陸側の城壁と違って低い。それでもハルネの背丈くらいはある。
城壁には一定間隔で細い覗き窓があって、その向こうに夜の水平線が見えた。背を伸ばして視線を落とせば、ごつごつした岩肌の崖と打ち付ける波が見える。
荒々しい波音が同じリズムで響いている。隙間から冷たい潮風がハルネの顔に吹き付けた。
「ハルネ様! 崖に近づいては危のうございます!」
後ろについてきた護衛が大げさに言う。
城壁があるのに危ないも何もないだろうと思いながら、ハルネは大人しく「見世物」に戻った。
レプティスが「死角がない」と断言したのは建物の立地によるものだろうとハルネは考えた。
確かに、海の側から侵入者があるとは思えない。もしそんな魔法のようなことができるなら、アリアスタがその方法を使って、とっくの昔にこの街を落としているはずだ。ハルネは敵国の軍事指導者の優秀さは認めているつもりだった。
つまり――犯人は存在しないということになる。
しかし実際には誰かが使者を殺したのだ。
ぞわり、とハルネに寒気が走った。
汗が噴き出す。
視界が眩む。
平衡感覚が歪んで吐き気がした。
ゆっくり、息を吐く。何も考えるな。ただひたすら、自分の体を鎮めることに集中する。
たぶんこれは、理屈に合わないことを、わたしの体が拒否しているんだ――。
自分にそんな性質があることを、ハルネはこの歳になるまで知らなかった。
これまでは何か不可解なことがあっても、ニーデが何でも答えてくれたからだ。もちろん、ニーデは全知ではないから、その答えの中にはひどい子供騙しも含まれていたのだけれど……。
何か可能性はないか。何でもいい、理屈をつけて――。
ハルネはゆっくりと思考を回転させる。
海から忍び込むのが無理なら屋根はどうだろう。他の家の屋根からロープを張って移動する。見張りの兵士たちも、地上には注意を払っていても空までは見ていないはずだ。
しかし隣の家まではざっと五百メートル(作者注:ボスリムにメートル法は存在しないが可読性のためにやむなく使用する)は離れている。この建物が隣近所から離れているからこそ火事になっても大した被害が出なくて済んだわけだが……。
空を移動する、というのは荒唐無稽なアイデアであったが、地上の監視を掻い潜るよりは可能性があるように思えた。
とにかく子供騙しであっても、何かひとつ可能性を見つけたところで、ハルネの体の不調が徐々に和らいでいったので安堵した。冷や汗のせいで夜風が刺すように冷たかった。
さて、そろそろ戻ろうかと振り向いたとき、ハルネはさらに別の可能性があることに気が付いた。
わざわざ空を移動しなくても、使者を殺せる人間は存在する。見張りの兵士の、誰かが殺したということはあり得ないか?
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