第5話 剣士の道中
私は剣に生涯を捧げた。素振りをし、剣の術理を考え、己を鍛え、精神集中する。そんな毎日だ。あの日、勇者に出会わなければーー。
「剣士、俺の仲間になってよ」
勇者は私よりも一回り小さい少年のように思えた。
「なぜ、私がそなたの仲間にならなくてはならない? 私は剣の道に殉死する身だ。寄り道などしていられぬ。他を当たれ」
「皆が認めている。君が最強の剣士だって。だから、君と旅をして、俺に剣を教えよ」
勇者は真っ直ぐな目で私を見る。
「私以外にも強い剣士がいる。そちらに当たれ」
「今、眼の前にいる。あなたがいいんだ」
私は真剣な目で見る勇者に問うた。
「ならば、そなたの剣で何をしたいのか、言ってみよ」
「俺は世界を本当の意味で、平和にしたい。勇者の悪習もきっぱりと断ち切る。本当の平和を導来たいのだ」
魔王決戦時。
私は勇者の背中を守るために剣を振るった。誰かのために剣を振るう。そんな剣の道もまたありだな、と。
吶喊吶喊吶喊。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます