第3話 破滅の魔法

 『破滅の魔法』

 それは禁忌の魔法とも言われる。発動すれば隕石が降り注ぎ、国土上にあるものを跡形もなく消し去る。ときに地形すら変容させる魔法。それが『破滅の魔法』。後の研究者は曰く、

「『破滅の魔法』は国が存亡の危機、例えば国中に疫病が蔓延したときや敵対国に侵略を許しもはや絶望的だというときに、一国の王に許された、最後の魔法である。この魔法を使えば、その国は歴史上から消されると言っても過言ではない。だから、使われるということは、王の資質が問われるということにもつながる」

 研究でわかったことは国土のみに降り注ぐということ。一歩でも国土から離れれば、隕石の余波や衝撃はこないということ。ゆえに、魔王と戦った勇者が生き延びた理由は魔族領に踏み入れていたということだろう、と推測される。『破滅の魔法』はなぜ一国土のみに敵用するのか。なぜその国ではない領域には効力を発揮しないのか。日夜研究者たちの議論は絶えない。

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