学園で生きること
学園都市アルカディア。それが僕の通う学園の名前。人間が対魔人用に作り出したこの学園は優秀な人材を作ることを目的にしている。戦う意志があれば誰でも通うことが出来るのがこの学園だ。
「ハァ……」
そして僕はこの学園の成績最下位者。
この学園は色んな人が数多く集まってしまったせいか、実力至上主義である。だからこそ僕は良く落ちこぼれと揶揄されて、虐められてきた。でも、クレイアとアルヴァのおかげで、僕かみんなに馬鹿にされることもあまり無くなった。
「辛気臭い顔してんな」
「あ、アルヴァ。ちょっと昔のこと思い出しててね」
「あはは! お前そんなこと気にするタイプだったのかよ」
アルヴァはそうは言うものの僕はかなり過去を気にして引きずるタイプだ。
♛︎
「おっとぉー! 足が滑ってぇー!」
「あぁ!」
ゼノは後ろからある生徒に蹴り飛ばされる。
背中から蹴られて痛みから立ち上がれなくなる。骨は折れているかもしれない。
「ごっめんねぇ、ゴミがあるのかも思っちゃったあ。なんだぁ、ただの落ちこぼれくんじゃないかぁ!」
「……」
「あれ、どうしたの? 大丈夫そー?」
ゼノは声もでず、ただ地面に突っ伏し続けているだけだった。
「アハハ! こいつうごけねぇんだぁ!」
「ゴミがとっとと死にやがれぇ」
「クズが学園から出ていけよ」
誰も助けてくれない。それ所か周りは便乗してゼノを蹴り続ける。
それからどんどん周りの人も参加していった。最終的には蹴るだけ蹴りって意識朦朧とした僕を見て飽きたように帰っていった。
「……」
ほぼ瀕死の僕に声かけてくれる人は誰もいない。それどころか当たり前の状況かのようにスルーしていく。
それと、この時までだった。
「あなた大丈夫!? 直ぐに治療するわ」
「えっと……あなたは」
「もぉー、あなたの隣の席のクレイア・プラウディールだよっ! 忘れたの? とにかく、ハイ! これで治したわよ。もう立てるでしょ?」
「え……」
クレイアはゼノに手を差し出したが、ゼノはそれに戸惑ってしまう。ただでさえ治してくれるだけでおかしいのにこんな僕に手まで差し出すなんて。そんな事をゼノはおもった。
しかしクレイアはそんなことも気にせず、それどころか少し層不思議そうにしてから再び手を差し出す。
「はい」
「えっと、ありがとうございます……?」
そしてゼノもその手を取った。
――――それがクレイアとの出会いだった。
「うんうん、それで?」
「うわっ!って君は?」
どうやら僕がベンチに座ってアルヴァと話していたら、その内容をこの女子生徒に聞かれていたようだ。
僕はあまりにも驚いてベンチから落ちてしまった。
「盗み聞きすいません! あたしは学園が認めた星の彗星、聖なる聖女と名高いラナン・カルトラーぜじゃぁ!」
「やあ、ラナン。こんなところでどうしたんだ?」
「いえいえ、何やら興味深い話が聞こえてきたようで」
どうやらこの二人は知り合いのようだ。僕は初めましてなんだけど、ちょっと気まずいな。まあ、悪い人ではなさそう?
「ああ、ゼノ。悪いな。こいつはラナン、俺のクラスの友人だ。ちなみに自分で聖女とか言い張ってるけど自称だから」
「ちょっとぉー!」
僕はクレイアとは同じクラスでアルヴァとは別のクラス。僕は基本的に他のクラスとの関わりはないので、ラナンと会うのはこれが初めだ。
「とにかくよろしくね、ラナンさん」
僕は苦笑いしながらプンプンと騒いでいるラナンに近づきの印に手を差し出した。
「うん! よろしくねぇ」
ラナンは僕の手を持ってブンブンと上下に振り回す。
この人結構軽そうな人だな。
すると握手を終えたラナンはハッとした顔をして向き直った。
「ああ、いやいや。今日は本題があって来たんだよ! アルヴァ」
「?」
「あたしとパーティー組まない?」
アルヴァは少し考えてから言った。
「……ラナンなら別に構わないよよろしくね。ここのゼノとあとクレイアも一緒だけどいいかな?」
「うん! あのアルヴァのパーティーに入れるだけで全然おっけぇー! よろしくねぇ!ゼノ」
「はい……よろしくお願いします」
パーティーは僕とクレイアとアルヴァにラナンでより一層賑やかになった。
少しうるさくも感じるがラナンはなんだか微笑ましい気分になる。
それから僕らは正式パーティーを組んだことで四人での連携の訓練やダンジョンについての勉強。実習に向けて僕らはいろいろなことをやるようになった。
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