第6話 器たるモノ

深夜、そこはネオンに煌めく街の繁華街。

いわゆる不夜城である。


そのビルとビルの間を走る通りには、怪しげな雰囲気を漂わせた、男と女たちの姿がポツリ、ポツリと見受けられた。


皆、怪しい店の客引きや、体を売る者たち


そこには[パラダイス]と言う名の店で看板が怪しい色を放ちながら瞬いていたが、そこに映る街の雰囲気とそこに蠢く人間の姿から到底[パラダイス]からは程遠く、魑魅魍魎の闊歩する世界と言っても差し支えが無く感じられた。


その街の通りを先ほどルミコの相手をした、男、ケンジが歩いていた。

もちろん、このケンジと言う名は偽名である。いわゆる源氏名である。


その男、ケンジは通りを足早に歩くと、やがて街の中央に建つビル前で足を止め、そこにぽっかりと口を開けている、その地下へ通じる階段を降りて行った。


その階段の降り口の上には[ホストクラブ・エデン]と言う名のネオン看板が掲げられていた。だがそれは神話に出て来る楽園の[エデン]には似付かわしくも無い怪しげな色を放ち瞬いていた。



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