第4話 魅入られしモノ②

その夜は、満月でも無いのに月明かりが眩しかった。

その月明かりに浮かぶ夜の街の中をルミコは一人、ヨロヨロと歩いていた。


男とは、その事を終え、約束の金額の金も貰っていた。


しかし、ルミコは後悔と屈辱と自己への嫌悪、そして男に対しても憎しみと嫌悪を抱き始めていた。


そう、大人の男の心を弄ぶ事に快感や喜びさえ覚えていた筈なのだ。だが、いつもこの様な行為の後には、その感情にルミコの心は支配されていた。


『汚れた男共が!』


もう、かなり夜も深まっていた。

月明かりに照らし出されたその路地をひとり歩く、金髪に白いシャツとジーンズ姿で手提げバッグをダラリとぶら下げて持つ、そんな時間にいる事が不釣り合いな少女。


他の男がもしそこに居たのならば、格好の獲物であり、必ずモノにしようと声を掛けて来るであろう。

が、もし、そんな邪な気持ちでルミコに声を掛けた時、その男はすぐにその事を後悔し、戦慄を覚えていたに違いない。


そう、今のルミコの顔には憎しみに満ちた明らかな殺意に満ち溢れていた。


『憎い!憎い!、私も、大人の男もみんな憎い!』


ルミコのその思いはスッと言葉となって口に出た。


「みんな殺してやる」



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