第3話 魅入られしモノ
『またカモが来た』
ルミコはそんな風にこの状況を楽しんでいた。
いつの頃からだろうか、自分と言う餌に食い付いて来た大人の男の心を自由にその手の中でコロコロと弄び、操る事に楽しみを、いや快楽とと言った方が正しいであろう、その事が面白く感じる様になって来たのは。
バカな男が自分の意のままに操れる。
それを重ねれば重ね程に快感を覚える。
ルミコはその魅惑に満ち溢れた媚薬の虜となっていた。
ルミコは今、ホテルの一室、
そのベッドの上で
街で声を掛けて来たチャラ男と体をひとつにしていた。
そのベッドの上でもルミコは男に身体を自由にされ、弄ばれる人形と言う役を演じていた。
ルミコが喘ぎ声を上げる度に、彼女の身も心も支配したと悦に入りながら、実はチャラ男はルミコの仕掛けた心の中を蝕む毒の沼に引き摺られている事を知らない。そう、知る事等は出来なかった。
ルミコ自身も実は知らず知らずの内に快楽と言う毒に溺れて居るのと同じ様に
そこには人を惑わせ操っている、深き闇の中からの糸が幾重にも張り巡らされ、二人はその糸を操るモノの描いたシナリオ通りに人形として操られ、その役を演じていたに過ぎなかった。
そのモノは、まるで人間が食用にする為に他の生き物を切磋琢磨して育てて行く様に似ていた。
そう人の魂を意のままに成るようにジワジワと蝕み、病ませ、壊して行く。
それが、そのモノ達の描いたシナリオであった。
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