第2話 闇に潜む者
『私には居場所がない……大人たちは皆、ウソつきだ。笑顔で手を差し伸べて来てもそこに 本当 は無い。だから、私はそんな大人を利用してやるんだ。』
夜の闇の中のビル群
その一角に、沢山の若者たちがそこに集まっていた。
親からの虐待を受けている者
学校でイジメを受けている者
様々なプレッシャーに押し潰されてしまった者
それらの現実から逃れるべく、多量の薬を飲み所謂オーバードーズを行っている者
彼女、彼らには家だけで無く 様々な理由から孤立をしその場所以外には居場所が無く、
その闇に潜む街の一角が唯一の居場所、オアシスであった。
そんな、中のひとり、ルミコ も又、居るべき場所、そして身を寄り添える場所を失い、ここにポツンとひとり、その身を置いていた。
先に彼女が心で呟いた様にルミコはその過去に置いて、大人たちの道具とされて弄ばれて来た。
彼女の心にはそれに依る大きな傷と共に、果てしない憎悪、深い憎しみを抱いていた。
『大人なんてみんな死んでしまえ』
そんな深く悲しい思いが今のルミコの生きる為の原動力になっていた。
故あれば大人の喉笛を噛み切ってやる。
そう、ルミコの標的は大人の男だった。
今のルミコはその憎悪に満ち溢れていた。
そこへ、不意に
「よう、姉ちゃん、幾らなら俺と寝られる?」
ひとりの中身の無さそうなチャラい男の大人がルミコに近づき、ヘラヘラとしながら気易く声を掛けて来た。
路上にぺったりと座っているルミコは顔を上げると、無言でそのバカそうな男の顔をマジマジと見て返し
その男の顔を見るなり
『あっ、コイツ馬鹿そうだな』
と思うなり、
顔にルミコは嘲笑を浮かべながら
「ぷっ」
笑い声をを吹き出していた。
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