始まり

 どこかの惑星。高台から景色を眺める。壊されたゴーグルを弄びながら思考を巡らせていた。


「人間はいつか死ぬもんだ。ただ、俺はあいつの面影を探している」

 終わりを悼み、始まりを覚悟する。

「でもなあ、俺はどうしても“前世”とかいうやつが苦手みたいだ。計算しきれん。二重螺旋って知ってる?」

 俺は亜鉛と塩酸を遭遇させても生まれないからな、あはは。


 永遠の独り言を吐いていると、脳のアンテナが出し抜けに反応した。

 計算外のざわめきの、誕生。

「これは、まさか……いや、また空振りでもいい」

 待機していた戦闘機をトランスフォームさせる。飛び乗ると早速の急浮上。

「何度でも会いにいくからな――」

 周りの物質が上昇気流を形成し始めた。それらには見向きもしない。構わず速度を上げ、いつしか光になる。


 何かに出会うために生命が誕生するのなら、俺たちは必ず出会えるはずだ。

 終わりにしないで……!


 人造物とは思えない光速で、緑の流れ星は宙を渉っていった。

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