スキットル
ルー・ガルー
第1話
パークスタッフに定期的に支給されるアイテムは職種によって異なるが、私のような年間のほとんどをフィールドで過ごす職種では軍隊のようになる。固形燃料や温めるだけで食べる事が出来るパウチされた食料などから嗜好品としてチョコレートやキャンディ、そしてこのスキットル入りのアルコール――もちろん成人済みの者に限られるが。言うまでもなくウイスキーが入っているわけだが、野営地では加水するコップを洗うことも面倒なのでそのまま飲んで後で水を飲めばいい。初めはむせていたが今は慣れたものだ。
「なあ、カレンダ、前から気になっていたんだが――その金属の入れ物に入った液体はなんなんだ?かなりきつい臭いがするが」
興味を持たれると厄介なので見せないようにしていたが、ついに見つかってしまったようだ。別に飲ませるなと言われているわけではないが、健康を考えればこんなものは飲むべきではない。
スキットルを口から離しながら――あなた達アニマルガールには刺激が強くておいしくないものよ――と告げた。
ブラックバックは「む、そうか」というと、ぐっと顔を近づけて唇を重ねて――そのまま舌を入れてくる。突然の Soul Kiss 。
「ぷはっ、急に――」
「うむ、これは確かに我等には刺激が強くて危険な味だな。もうねだらないから気にせず飲んでくれ。」
そういうと何もなかったように、私の手元の書類を手に取り読みだした。
「まったく、刺激的で危険なのはアナタのほうじゃない」
スキットルをあおる。口の中に残ったブラックバックの味はウイスキーとともに消えた。
スキットル ルー・ガルー @O_kamiotoko
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