第3話
珠「起きないとキスしますよ。」
私はその言葉で目が覚めた。別に珠洲矢とキスするのが嫌だったわけではない。本能が告げていた、「やばい」と。時計を見ると時刻は、六時三十分。学校に行く時間の三十分前だ。みんなは朝ご飯を食べ終え支度も終えて私の支度までしてくれていた。起き上がり椅子に座り朝食を食べる。わざわざ持ってきたらしい。
私「有難うがざいます。できればもう少し早く起こしてください。」
光「実は、五時五十分から十分ずつ「キスするよ」って起こしていったんだけど」
私「じゃあキスはしたの?」
樹「珠洲矢以外全員やったぞ。」
珠「僕もやりたかった」
桜「しょうがないよ。それに自分から勝った人からやるって言い出したでしょう。」
光「順番は、桜花、僕、樹、珠洲矢の順番でやったよ。」
樹「珠洲矢はできなかったけどな。」
珠「うるさい。」
私「珠洲矢こっち向いて。」
珠「えっ」
{ちゅっ}
珠洲矢が少しだけ可哀想に思えたのでキスしてあげた。
珠「いいの?キスなんてして。」
私「別に問題ないでしょう。昔からしているのだから。」
桜「僕にもして。」
樹「俺が先だ。」
光「まあまあ二人とも。僕が一番最初だから、二番目をじゃんけんでもして決めな。」
私「下らないこと言ってなくていいからさっさと着替える。遅刻するよ。」
光「まあそういうと思ったよ。」
桜「珠洲矢だけずるくない。」
珠「運が良かっただけだよ。」
樹「ここで運が良くてもこの先どうなるか分からないからな。」
珠「それはそうだけど、魔裟のことは死んでも守ると決めてるよ。」
桜「僕もそうだよ。」
光「僕のほうが守ろうとする意識は高いよ。」
樹「俺も負けないくらい守ると決めているさ。」
私「頼むから私なんかのために死なないでよ。」
樹「却下。無理。」
光「何かあったらすぐ助けに行くから叫ぶんだよ。」
珠「常にくっついていれば大丈夫。」
桜「君さあ、どさくさに紛れて腕にくっつかない。」
私「桜花にも同じことが言えるね。」
光「じゃあ僕と樹で後ろを固めよう。」
樹「こんなんで登校したらやばい奴らみたいだぞ。」
私「いつもとあまり変わらない気がする。そんな事より学校からメール。今日の身体検査中止だって。朝臨時で全校朝会を行います。突然の変更のため通常登校の時間までに体育館にいれば遅刻にはなりません。昨日のあれが効いたのかな?」
桜「効いたんじゃない。身体検査なくなったし。」
樹「でも何でいきなり全校朝会をやるんだ?」
珠「よくわからない。でも行くしかないよ。」
光「何かあったら臨機応変に行動しよう。勝手に動くなよ、樹。」
樹「分かってるよ。何かあったらそのときは、魔裟が一分でも長く生きれるように動くさ。」
桜「分かってるのか分かってないのか不安だな。」
私「おしゃべりはここまで。もう学校に着くから下手なことを喋らないように黙っていようか。」
学校に着いて。
光「じゃあここからはおしゃべりはなしで行こう。」
体育館に向かっていると、やはり普段の全校集会のときより人が少ないが、相変わらずいやいつもより避けられる。おかしい完璧な女装なはずなのに。しかしその原因は、普段仲良くイチャイチャしている五人組が無言で真面目な表情をしていることだと会話から理解できる。
生徒「あの五人喧嘩でもしたのかな?」
生徒「喧嘩別れするなら光くん私のこともらってくれないかな。」
お前なんかに渡すわけ無いだろ、と思って光を見ると{チュッ}と口づけをしてくれた。それと同時にさっきの生徒に殺気を飛ばすから感心してしまった。体育館に着き係の人が整列をさせていた。5分後先生から校長先生と他のお偉い先生が今日突然休んだ、という報告があり、全校朝礼が始まった。いつも通り聞き流そうとするも、先生の話が耳についた。
先生「最近学校に不審な人からメールが届きます。犯人はすでに分かっているので後で職員室に来なさい。来ない場合は、退学となります。」
私も珠洲矢もポーカーフェイスを貫けたから良かったが、心配なのは樹だ。後ろをこっそり振り向くと大丈夫だった。きっと相手はまだ犯人がわかっておらずこうして脅すことであぶり出そうとしているのだろう。全て推測だが間違ってはいないはずだ。だって今日話した内容はわざわざ全校を集めなくてもできるからだ。こうして全員集め周りから教師が見る。そうすることで怪しい動きをしている生徒を把握しようとしているのだろう。こういうことを考えているともう全校朝礼が終わるようだ。周りのみんなに合わせてたった瞬間白い光に包まれた。光が消えると先程の隊系のまま二百一人全員が知らない場所にいた。いつもの四人が私を囲むように近づいてきた。さすが私のために死ねる人たち。そう思って感心していると偉そうな人が出てきて話し始めた。
アル公「皆様には、三柱の魔王を倒しこの世界を救っていただきたいのです。」
向こう側の都合だけを押し付けこちらの都合は全く考えていない言い草に腹が立ち私は言葉を放った。
私「ふざけるな許可なく呼び出した上に命を懸けさせるとは何様のつもりだ。」
おかしい私達五人に向けて学校の生徒達まで殺気を向けてくる。何らかの精神支配下?ここは異世界相手の土俵だ。私は小さな声で四人に聞いた。
私「私がすることにまだついて来てくれる?」
四人はみんないっせいに頷いた。先程の話は本当らしい。
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