7. 唯一の居場所
私は実のところ、1人になるのが怖いのだ。
1人になるのが怖いから、思ってもないことを言ってしまう。
1人になるのが怖いから、友達の望む通りに動いてしまう。
1人になるのが怖いから、なんでも友達に合わせてしまう。
1人になるのが怖いから、友達に気を遣いすぎてしまう。
本当はそうしたくないのに、自分だけ置いてけぼりになるのが怖いのだ。
「あー、また今日もNoと言えなかったな」
私はいつものように1人反省会をする。
一通り反省会をした後は、いつもの楽器店のピアノルームに向かう。
この楽器店にはよく行くので、ここのスタッフさんとは顔馴染みになっている。
スタッフさんもそれをわかっているけれど、それ以上は何も深入りしてこない。
このお互いについて踏み込まない関係性が、私には心地よかった。
ピアノルームで1時間半、ピアノを弾く。
この時間は誰にも邪魔されたくない、私だけの特別な時間だ。
1人になるのが怖い。置いてけぼりになりたくない。
そんな私の唯一の居場所が、このピアノルームだった。
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