第2話

彼とは、学生時代からの知り合いだったのか、出会いはどこだったのか、覚えていない。学校では、彼は女の子を引っ掛けてはデートに誘っていた。大きな黒い目に褐色の肌。僕を見ると、彼の目は大きくなり、ごくりと唾を飲む。ここは女の子の来るところではないよ。帰りなさい。そう言って、欲情した真っ暗な目で僕を見守る。僕は女の子じゃないんだけどな。


学校からの帰り道、彼と2人で帰ると、いつもいるいじめっ子がなぜかいない。君のためなら誰とだって戦うよ。そう言って彼は僕の手を繋いだ。小さな手だな。まるで赤ん坊みたいに。暖かい手が、彼の父性を感じさせた。誰にも奪わせはしないよ。君の痛みは僕の痛みだ。

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