降りしきる雨の中、女のような声で、私をさらう。
上山ナナイ
第1話
さむい?
ねえさむいなら、一緒に寝よう。
一つになろうよ。
寝床で2人の子供が眠っていた。どちらかが片方に身を寄せる。てのひらを伸ばし、体温を感じる。その小さな手を愛しく感じる。
守ってあげるよ。
僕の小さな頃の思い出だ。彼は誰にも知らないどこかからやってきた。たぶんそこはこの世の果てなんだと思う。雪まみれの彼は、笑いながら僕を抱きしめる。いいからおいで。おいでよ。僕と一緒に行こう。僕は魔法使いなんだ。連れていく、連れて行くよ君を。
僕らはどうしてこんな風になってしまったのか。降りしきる雨の中、血まみれの彼は、それでも笑っていた。1人じゃないよ。そう言い残して、彼は僕を抱きしめて、死んだ。
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