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ナーナちゃんに、
そこには、壁にもたれながら座るナーナちゃんの姿。
そしてもう一人。クラスメイトの雪奈ちゃんが、ポニーテールを揺らしながら息を上げていた。
雪奈ちゃんが、ナーナちゃんを見つめる。
ど、どうしようっ。
わたしは、目の前でクラスメイトが傷つけ、傷つきあっているのに、慌てることしかできなかった。
雪奈ちゃんは、ナーナちゃんの胸ぐらをつかむ。
どんどんヒートアップしてきてる……。先生とか呼んだほうがいいのかな……。
わたしはそう思い、ノート60冊をすべて拾い終えると、もと来た道を引き返そうとした。
―――そのとき。
「う、ううう……!」
そのとき、ナーナちゃんの苦しそうな声が聞こえた。
それはまるで、誰かに助けを求めているかのよう。
だ、だめ……っ。わたしが止めなくちゃ。少しの間でも放っておいたらナーナちゃんと雪奈ちゃんの心がそれだけ長く傷つくだけだもん。
わたしは角までもどり、勇気を出して叫んだ。
「やめてっ……!」
だけど、二人には届かない。
も、もっと大きな声で叫ばなくちゃ……。
わたしはありったけの息を吸い込んで、叫んだ。
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