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あの日から一週間もたったというのに、まだ彼女の席は人でいっぱいだった。
「ナーナちゃんの笑顔、かわいい!」
「服も筆箱も、とってもおしゃれ!」
「この髪、自然にこういう色なの? うらやましい~」
隣から聞こえてくる言葉は、どれもほめ言葉ばかり。
ナーナちゃんは、みんなに愛されているんだね。
そのとき、わたしはそう思っていた。
ある日の中休み。
わたしは図書館に本を返しに行くと、自分の貸し借りカードがどこかへ無くなってしまっていることに気が付いた。
そのことを先生に言うと、
「困ったわ。先生は今、夏休みの貸し出しで忙しいのよ。どうしようかしら」
「わたしがいっしょに探しましょうか?」
先生が困っていると、とつぜん横から声が聞こえた。
パッと振り返ると、
「ナーナちゃん!」
そこには、にこっと笑うナーナちゃんの姿があった。
「まあ! お願いしてもいいかしら。ごめんなさいね」
先生はわたしたちに謝りながら去って行った。
「よし、探しに行こっか」
「うん!」
わたしは、ナーナちゃんにつられて笑顔になる。
わたしも、ナーナちゃんみたいに、素早く行動できて、ずっと笑顔でいられるような女の子になりたいなあ。
あ、でもそれじゃあわたしがナーナちゃんになっちゃうか。あはは。
そんなふうにわたしは、ナーナちゃんへひそかにあこがれを抱き始めていたのだった。
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