勇気をもつとき

桜田実里

1

「入ってきてくださーい」


 担任の先生が、ドアに呼びかける。

 わたしは小学五年生の麻里花まりか。今日はね、うちのクラスに転校生が来るんだ!

 あー楽しみーっ!


「はい!」


 ドアの向こうから声が聞こえた。

 ドキドキと高鳴る心臓を抑えながら待つ。


 すると、ドアは大きく開いて、外からかわいい女の子が入ってきた。

 髪はクリームっぽい茶色をしていて、くるんと巻かれている。

 赤いランドセルはいかにも新品ですって感じに、キラキラ輝いていた。


「はじめまして。名前は藤田ふじたナーナと言います。みんなと仲良くなれたらいいです」


 ナーナちゃんの自己紹介が終わると、教室はナーナちゃんを迎え入れるように、はくしゅでいっぱいになった。


 ナーナちゃんの席は、わたしの隣になった。

 ナーナちゃんは、笑顔でわたしに微笑みかけてくれたんだ。

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