第16話 魔法ギルド②

「これは、ご丁寧に。私はこの魔法ギルドの長を務めております、カウレスと申します。」

「カウレス殿か、よろしく頼む。」

そして、私は彼と握手を交わした。

「しかし、ヴィレ・アズマさんですか。聞いたことがありませんね。」

「このエルフェリア帝国からは遠いところから来たからな。」

「遠いところかつ、アズマという名前からして、極東の桜華帝国からいらしたのですか?」

「まあ、そう言ったところだ。」

 桜華帝国か。いつか訪れてみるか。


「つかぬことをお伺いしますが、このレベルの武器は他にも作れるのですか?」

「それは素材によるが、可能だろう。」

「ちなみにその杖を売ってくれるということは・・・・ありませんよね。」

「ああ、すまない。それに、製造方法も教えられない。」

「いえ、構いません。これほどの武器を作れる存在がいたら、各国家が国を滅ぼしてでも、その人を探しに行きますからね。あと、各国の軍事バランスが崩れますから。」

そう言って、ギルド長は苦笑した。その後、彼女のいう研究成果やガルダの死骸の一部を取り出した上で、商談が始まった。


「セシリア様の研究成果については、特許申請は行いますか?」

「はい。お願いします。」

「かしこまりました。では、売るのではなく、特許による貸し出しという形になりますので、毎月、手数料を引いた、特許使用料をお渡しいたします。」

「ありがとうございます。あと、この研究の過程についてを説明を記した、書類も渡しておきますね。」

「承りました。これらは特許申請と一緒に魔法省に提出しておきます。」

そして、他の商談も済ませ、残すところはガルダの死骸となった。各部位をしっかりと分けていたので、地下で行うことができた。






「しかし、我々はガルダの死骸レベルのモノは扱ったことがありませんので正しい査定かどうかはわかりませんが、全力を尽くします。」

そうして、彼は各部位を調べ始めた。魔力量や素材の耐久性などをはかっていき、部下達にそれらが必要になりそうな産業を挙げさせていった。


「これは、このエルフェリア帝国を飛躍させるものと言えます。難点としては供給が困難というところです。故に、かなりのプレミアがつく武器やアクセサリー、魔道具の材料として用いられるでしょう。これを必要な製造会社に渡そうと思います。そのため、お渡しは後日という形になりそうですが、本日は何かお買い上げになるので?」

「ええ、気に入ったものがあれば買うつもりです。なんせ、この街に来たのは久々ですから。」

「となると、にも行かれるので?」

「もちろんです。に、宝が埋まっているかもしれませんから。」

「なるほど。では、前払いとして、虹金貨20枚くらいでどうですか?」

そう言って、彼は小さな袋を取り出して、彼女に渡した。

「いえいえ、ここは25枚くらいじゃないですか?」

「それは、出し過ぎというものです。虹金貨21枚。」

「もうちょっとお願いできませんか?虹金貨24枚。」

「そんな風に目を潤ませてお願いしてもダメです。虹金貨22枚。」

そういう風に睨み合っており、とても時間がかかりそうになっていたので、少し介入させてもらおうか。資料を読んで、出そうな利益から最低額を算出して、考えた。


「横からすまない。虹金貨23枚と大金貨40枚、これでどうか。その代わり他のガルダ級の素材が入手できた場合は優先して、そちらに送るというのは?」

そう言って、彼女の方を向いた。もう少し貰おうと考えていた彼女は不機嫌な顔をしたが、私が提示した金額が妥当と思ったのだろう。了承を示すように首を縦に振った。彼も唸るように考えていたが、落とし所はそこだと考えて、了承した。





「アズマさん、あなたとはこれからも仲良くしたいものです。」

「ああ、勿論だ。君が敵にならないのならば。」





*エルフェリア帝国の金の価値

虹金貨>虹銀貨>白金貨>白銀貨>大金貨>大銀貨>金貨>銀貨>大銅貨>青銅貨>銅貨>鉄貨

虹金貨1枚=虹銀貨5枚=白金貨20枚=白銀貨80枚=大金貨320枚=大銀貨1280枚=金貨5120枚

=銀貨10240枚=大銅貨20480枚=青銅貨40960枚=銅貨81920枚=鉄貨163840枚

イメージとしては

虹金貨1枚=日本円で約1億円

虹金貨23枚+大金貨40枚=23億1250万円


*奥→闇市のこと。オークションもある








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