第14話 商業都市エトランゼ

とりあえず、怒れる彼女を宥めにかかった。

「悪かった。もう、揶揄わないから落ち着け。」

「別に怒ってなんかいませんよ。ちょっと悔しいだけです。」

「今日の夕御飯は貴方の好きなものを作るから、許しておくれ。」

そう頼むと彼女は膨らませていた頬を元に戻し、困ったように一つため息をついた。

「仕方ないですね。では、買い物に付き合ってもらいます。」





そして、私達はこのエルフェリア帝国の中でも屈指の商業都市であるエトランゼに向かった。もちろん、彼女のスピードに合わせて空を飛んだ。拗ねられては困るからな。




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商業都市エトランゼ


エトランゼはエルフェリア帝国屈指の商業都市だ。都市構造としては三つに分かれている。一つ目は港を中心とした貿易区画。ここでは、アスラ海を通じて、各地の貿易船や来る。もちろん、輸出品を売ったり、輸入品の受け取りもあり、他国への貿易のための中継地にもなっている。また、港なので、他国に渡るための客船もある。二つ目は、中心部からなる金融区画。ここでは、物価を決めたり、品物の鑑定を行う場所でもある。また、ホテルなどの宿泊施設や、カジノや娼館などの娯楽施設も完備されている。貴族や王族、皇族などのお偉いさんがお忍びで訪れる場所でもある。ちなみに、カジノで、カジノ側からお金を借りた上で、大負けして返せないとなったら、人権を剥奪され、奴隷とされたり、消されたりするのでご用心を。三つ目は都市の内陸部に位置する、商業区画。ここでは他国からの品物や、内陸からの品物を売り買いする場所だ。氷結術式で保存もしっかりと行われている。また、ギルドもたくさんあり、研究や討伐依頼の斡旋も行われている。さらに、闇市もあり、普通は手に入れることのできない品物や、奴隷とかも売られている。一見、治安が悪いように思われるが、元締めであるゼルエルファミリーが秩序を重んじているので、なんだかんだで治安は良いようだ。

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「ちなみに我々はどこに行くのかな?やはり、商業区画か?」

「はい。私の研究結果や作ったもの、そして、ガルダの亡骸や生態について求めた書物、余った素材などを売るのに適していますから。ちなみに、魔法ギルドに行きますが、あまり派手なことはしてはいけませんよ。」

「わかっている。私にも分別はあるさ。おいまて、なんだその目は。まるで私が危ない奴みたいではないか。」

「実際危なくないですか?神なんですし。ぶっちゃけ、一人で星の一つは滅ぼせるんじゃないですか。」

「まあ、否定はしないが。だが、それでは私が邪神みたいじゃないか。これでも心は繊細だからこれ以上傷つけないでくれ。」

「わかりました。さあ、行きましょうか。」

そう言って、私達はエトランゼに降り立った。目立ちすぎるのは良くないので、人の往来ではなく、裏路地で降りた。

「闇市にも行くのか?」

「研究結果の売れ具合によります。魔術的に価値の高いものがたまに出ますから。さあ、行きましょうか。」

彼女は楽しげの雰囲気を浮かべながら、魔法ギルドへ向かった。ちなみに、ガルダの亡骸とかは、私が空間術式で、宝物庫の中で冷凍保存を行っている。そして、彼女の研究結果などは彼女の作ったアイテムバッグに入れているみたいだ。




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