第12話 心の内
「随分とまあ、躊躇なくいったものだ。」
こういう自分の体を傷つける系の行為は、忌避するものや、躊躇するものが多いのだが。心の持ちようが違うな。今まで見てきた中で、こういう手合いは一つ絶望を味わっているものだが、そんな感じを私には少しも見せない。記憶を読んでもいいが、覗きはマナー違反だからな。今は置いておこう。
「ええ。女は度胸ですから。」
「それでできるのは結構少ないと思うがな。」
そして、晴れて、天空杖アルシエルは彼女の専用武器となったのであった。
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*セシリア視点*
結局、あの人に助けられてばっかりでしたね。我ながら不甲斐ないです。ガルダ相手に舐めた真似などするべきではありませんでした。それで、あの人に迷惑をかけてしまいました。あの人のことでしょう、こちらが謝っても「気にするな」と仰るだけでしょう。ただ、それでは私の気がおさまりません。どうにかして報いねば。
それはさておき、魔女として、あの人の使う魔術は興味があります。あの人は神術と仰っていましたが、術式や陣は使っていました。そういえば、隠密魔法について教えて貰うんでしたね。
気がつけば、あの人のことをいつも考えている私がいます。あの人は私の研究に付き合い、色々と考えを言ってくれたり、美味しい料理を振る舞ってくれたり、何より私の窮地を恐れずに助けてくれた。今まで生きてきた中で、こんなに二人でいた時はありませんでしたね。あのことがあってからは一人でいた方がいいと思っていたのですが。倒れているあの人を放っておくことなどできなくて、助けて、一緒に生活しました。そもそも、この生活はまるで夫婦みたいです。もちろん、あの人が仰るように神ならばこんなことを言うことはできません。それでも、あれほど良くしてもらって、何よりイケメンならば、惚れるなと言う方が難しいです。それどころか、この身の火照りをあの人の手で鎮めて欲しい。私を愛して欲しい。私以外を見ないで欲しい。私に依存して欲しい。もちろん、こんな重い感情を知られるわけにはいきません。引かれたら悲しいですから。
そういえばあの人の喜怒哀楽は分かりずらいですね。それ以上に、あの人はほとんど表情を変化させません。あのような顔はまるであらゆる絶望を見てきたような人がする目。まあ、あの人は神ですが。なぜわかるのかと言うと、かつての私と同じような顔だったから。全てに絶望してなお、諦めることができなかった私と。だから私は決めました。
あの人の顔に笑顔を取り戻そうと。
そして、私を頼ってくれるようになって欲しいと、本音を教えて欲しいと。そう、私は思い、自嘲じみながら、顔に歪んだ笑みを浮かべたのでした。気のせいか、近くに置いておいた天空杖アルシエルが少し震えたように見えました。
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どうも、アルバスです。所用で更新ができずにいました。申し訳ございません。この話が面白いと思ったり、セシリアちゃんめっちゃちょろくね?と思ったり、ヤンデレだぁと思った方は、ブックマークやレビューをお願いします。
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