第8話 ガルダ1
次の瞬間、ガルダは猛スピードでこちらに向かってきた。ガルフォンより大きいのに、ガルフォンより速かった。
「しゃがめ。」
「はい!!」
そして真上の頭スレスレのところをガルダは通り過ぎた。獲物を取り逃したという事実が、ガルダを怒り狂わせたのだろう。
「GRYOOAOAOAOAOOAOAOAOOAOOAOAOAOOAO」
激しく叫びながら、今度は距離を取った。遠距離攻撃をするのだろうか?そう思っていると、ガルダの体が光り輝いた。そして、とんでもない突風が吹き荒れた。
空中に放り出されそうになるのを耐えていると、ガルダは嘲笑うように翼をはためかせ、風を放った。それも、ただの風ではなく・・・・・・・・・
「まずい、あえてここは飛ぶぞ、捕まっていろ、セシリア!!!」
「はい!!」
何と、無数の風の刃だったのだ。
飛ぶと、さっきまでいた、地面が抉れ、岩が簡単に切り裂かれていた。
「うーむ、危なかったなぁ。しかし、あの威力やっぱり
「そんな、呑気なことを言っている場合ですか!?しかも、ここは空中、奴のフィールドとも言える場所ですよ!?速く逃げないと、死にますよ!?」
「いや、仮に逃げても後ろから七面鳥撃ちみたいに風の刃を放たれるし、どこに逃げれるかという話だ。しかも、こいつ身内をめちゃくちゃ可愛がるタイプみたいだから、我らをどこまでも追いかけてくるだろうな。」
「では、どうすれば?まさか、あなた奴をここで!?」
「ああ、無闇な殺生は良くないが、奴が我らを殺そうとしている時点で、奴は我らの敵だ。こちらも、奴の仲間を殺したが、それは向こうから突っ込んできたからだ。いや、この言い方はよそう。結局は私も私の都合のために、ガルフォンを殺したのだから。いつの世もそうだ。正義は自分の都合を押し付けることを美化した言い方だ。これが正しいとまでは言わない。ただ、我らの都合のために死んでもらおう。構わないな?」
「ええ、このままでは死ぬのはこちらです。」
「では、始めようか。今日の夜ご飯の材料になってもらうとしよう。」
「私たちの都合とか、正しい行いか否かを言っていたさっきの感じが一瞬でなくなりましたよ。身も蓋もないですね・・・。まあ、この人と一緒にいるから私も同罪ですか。」
「そうだ、あと、私は人ではなく、神だ。」
「はいはい、わかっていますよ。」
「ちなみに、どっちがやつと戦いたい?私が奴を始末してもいいし、君が戦って、私がサポートする形でも構わない。」
「いきなり、真面目な態度になるとびっくりしますよ。では、私が奴を倒すとしましょう。プライドをへし折るために、あえて、風魔法で戦いましょうか。」
「余裕な感じだが、こういう時に限ってなんか起こるからな。フラグが回収されないことを祈るよ。」
「何ですか、フラグって!?私が、そんなヘマをすると思いますか!?いくら空の王と言っても、所詮は魔物。私だってやれるというところを見せてあげます。」
「よせ、あなたは、大魔女であって、高速フラグ建築士ではないだろう?あと、フラグというのはいわば"そういうことを言うから、危惧していたことが起きたじゃん"と言う感じのやつだ。」
「安心してください。私は深淵の大魔女セシリア・アル・ウェストデリスですよ。」
「そう言うところだぞ。まあ、ピンチになったら助ければいいか。」
戦場だというのに、緊張感のない二人だった。蚊帳の外にされているガルダが少し哀れだった。
「そう言えば、あなたは神ですよね?威圧でもすれば逃げていくんじゃ?」
「やってもいいけど、そうしたら、一番近くにいる君が気絶からのお漏らしコースだがそれでもいいのか?」
「倒しましょう」
「即断即決は大事なことだ。」
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