第4話 氷菓子
「一瞬で固まった。雪を媒体に対象を凍らせる術式といったところか。」
「ええ。ただ、対象を間違えると、自分も凍るから卓越した魔力操作が必要です。」
それも含めて、見事なものだ。私は凍ったエストライガーに触れてみる。すると、一瞬でヒビが入り、粉々になった。
「骨の髄まで凍っているのか!?その術式はかなりの威力があるようだな。」
「もちろんこれよりも凍らせることもできるし、弱くもできますよ。」
末恐ろしいものだ。同時に彼女が素晴らしい魔法使いであることもわかった。
「ちなみにエストライガーは食べれるのか?」
「尻尾に蛇がいたように、こいつもかなりの毒性を持っているから、無理ですね。」
残念だ。野菜も大事だが、お肉も食べるべきだと思う。
「君は肉を食べれるのか?」
「食べれますよ。しかし、最近食べていませんね。食については栄養が取れればそれでいいと思っていますし。」
ふむ。お肉はたまにといったところか。まあ、彼女はそれでも体調を崩している感じはないし、今はいいか。
「そう言えば、あなたの家にはフルーツジュースがあったな。」
「喉の渇きを潤すのに、水ばっかりは嫌ですからね。いくら大魔女でも私は女の子なので甘いものが好きなんですよ。」
女の子と言える年齢なのだろうか。いやまあ、女性に年齢や体重を聞くのはマナー違反だし、聞かないでおこう。
「あのー?今とても失礼なこと考えていませんでしたか?」
「別に。気のせいではないだろうか?」
女性の勘というのもなかなかどうして侮れないものらしい。
「では、今日の夜にデザートはどうだろうか?君の氷結魔術から閃いたものだが。」
そして、夕食を準備した。献立は野菜と薬草のサラダに、餅みたいなもの、煮込んだ芋といったところだ。
「私が来るまでの献立もこんな感じか?」
「もっと簡単なものでしたよ。お客様に雑なものはお出しできませんからね。」
やっぱり、お肉がいるな。明日から色々と調べてみよう。そんなこんなで私とセシリアは夕食を食べ終わった。
「さあ、デザートを作るといってましたね。何を作るんですか。」
「その前に一つ聞いてもいいか?あなたは冷たいものは好きか?」
「まあ、人並みには。」
「では、君の魔術で大きめの氷は作れるか?もちろん、さっき見せてもらった氷より冷たくないものを。」
「わかりました。初級氷結魔術 氷塊」
すると、その言葉通り大きめの氷が現れた。人の頭一つ分の大きさだ。
「良い塩梅だ。」
さて、このデザート用の機械を作ってもいいが少々時間がかかる。創造神術を使えば一発だが、残穢ながら、それとは相性が悪い。あと、この世界においての神術や神力、そして、
こちらの使う魔法がどういうふうになるのかの実験も召喚術式以外済んでいない。ならば、物理的に作るとするか。
「ここは、清潔な剣を使うか。」
そう言って、私は宝物庫から、とある神剣を取り出した。その剣の銘は、淡水剣セイレーネである。
「綺麗な剣身・・・。」
「ありがとう。さて、少し離れてくれるか?」
「わかりました。ただ、台所は切らないでくださいよ。」
「わかっている。では、使うか。」
そう言って、私は剣を鞘に収めて、構えた。
「ギルファルガ流神剣術・水の舞其ノ捌 波飛沫」
私がそう剣を抜き、そして、鞘に収めた次の瞬間、氷がかき氷の氷のようにシャーベット状になっていた・・・・
シャーベット状になった氷を器に分けていく。
「さて、この上にフルーツジュースをかけたいが、あなたの好きなフルーツジュースはなんだ?」
「それじゃあ、サフィア味で・・・、って、今のなんですか、全然見えませんでしたよ。この国の最高の剣使いでもそこまではできないのに。私の知っている剣使いでもあなたほどの剣捌きができる人は数えるほどしかいませんでしたよ。もしかして、魔法ですか?」
「いや、数えるほどはいるんかい。もちろん魔法は使っていないよ。この神剣の能力も使っていない。神の剣術使って、切っただけだ。」
「うわーえげつないですね・・・。しかもそれだけではないでしょう?」
「もちろんだとも。」
そう自信満々に言ったのだが、彼女はどこか呆れていた。いや、なんでやねん。
「さあ、これがかき氷というやつだ。召し上がれ。」
「色々と言いたいことはありますが、まずは食べましょう。いただきます。」
そして、彼女は一口それを口に運んだ。
*サフィア:ブルーベリーと葡萄の中間みたいなフルーツ
読んでいただきありがとうございます。面白いと思った方や、「氷を切って、かき氷を作るのかよw w w。」と思った方は⭐︎⭐︎⭐︎やブックマークをお願いします。
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