第3話 氷の魔法

 そして、ついていくと草木が溢れる場所に着いた。

「まずは、回復ポーションの原料になる、マキア草を採集しようか。」

「家で、栽培はできないのか?」

「できなくは無いけど、ここの土壌が一番育つに適しているから。ちなみにマキア草に似ている、マキラ草という、猛毒を持った植物もあるから、気をつけてね!!」

そう言われ、各々採集を始めた。取り尽くしたら、まずいので、セシリアから指示された50草を目標としよう。マキア草とマキラ草はとても似ているらしい。判断方法は葉っぱの形らしいが、栄養失調のものだと、ほぼ見分けがつかないらしい。

「仕方ない、今ここにセシリアはいないからを解放するとしよう。」





「神眼封印解除、神力励起、開放・蒼穹を見晴らす空の神眼カルマ・アストラ

 世界の色が変わった。この眼は見る対象の全てを見ることができる。つまり、猛毒があるかどうかがすぐに見ることができるということだ。ただ、常時開放すると、神力をバカ喰いするし、知られてほしく無いことも見ることになる。何より、情報量があまりにも増えすぎるので、普段は封印しているのだ。

 そして、判別を済ませて、セシリアのところに持って行ったのだった



「おお、全部本物ですか、すごいです。これを見分けるのに、私は2ヶ月はかかったというのに。」

「まあ、特徴から色々と類推したといったところだ。」

「そうですか、本当は神の力を使ったんじゃないですか?」

「ギクリッ」

「大方、私に判別の手間をかけさせたくないといったところでしょう?まあ、その心遣いはありがたいですが。今なら、そのくらい苦ではないので大丈夫ですよ。」

「すまなかった。」

「わかればよろしい。」

そうセシリアは可愛らしく、それでいて毅然とした態度でそう言った。




その後色々と採集し、探索を行った。そして、日が西に沈む時間になった。

「今日はこのくらいにしておきましょうか、夜の森は危険度が跳ね上がりますから。」

「なんか、すまないな。」

「いえいえ、あの時は派手に落っこちてきたあなたに周囲の魔獣がビビって、隠れていたようでしたので、お気になさらず。」

嘘は言ってないらしい。なら、気にしないでおくか。気にしすぎて、余計に気遣われるのも良くない。

「そう言えば、聞いていなかったが、この森はまだ、全て探索していないのか?」

「ええ。広大ですし、危険地帯もたくさんありますからね。」

そう、雑談をしながら、家に戻ろうとした。


その時だった。全方向から殺気を感じた。咄嗟に身構えた次の瞬間、全方向から一斉に何かが飛びかかった。

「「「グァァァァァァァァァァァァァ」」」

すぐにセシリアを抱えて、木の上に飛び上がった。同士討ちになるのを期待したが、連携が上手いのかそうはならなかった。そして、そいつらの姿が見えた。見た目は、メスのライオン。ただ、尻尾から蛇が出ていたり、ライオンよりも鋭い牙や爪を持っていた。

「エストライガーのメスね。集団で狩りをするのよ。しかし、妙ね。オスの姿が見当たらない。オスが止めを刺すのがあの魔物の生態なのだけれど。」

「集団で狩るということは知能は高いと見て間違い無いか。ということは、後ろから来るということでは無いのかな?」

そして、勢いよくその木から飛び降りた時、さっきまでいた木に巨大な火の玉がぶつかった。あのままいたら、丸こげのウェルダンになっていただろう。

「危なかったわね。」

「前方を固められているのなら、後方から来るのが普通だからな。」

そして、群れのボスと思われるオスが出てきた。その見た目はまさしく、キマイラといったところだ。完全に囲まれたな。

「そう言えば、私の魔法をまだ見せていませんでしたね。5秒時間を稼いでください。」

「心得た。」

次の瞬間、一斉にエストライガーが飛びかかった。もちろんここで神装を使うことはできない。故に、宝物庫から普通の剣を取り出した。魔剣や神剣を取り出しても良かったが、ここは、いわばセシリアの見せ場だ。邪魔するわけにはいくまい。

前方から来るメスのエストライガーの爪の攻撃を受け流し、跳ね飛ばした後、オスのエストライガーが魔法を撃とうと口を大きく開けたところを剣で切り裂き、発動を中断させる。そうしていると、セシリアの魔法の構築が完成した。

「見ていてくださいね。この魔法は言わばオリジナルの魔法です。」

そして、彼女の杖に魔法陣が浮かび上がった。



「属性指定:氷 魔法陣展開、起動。上級氷結魔法・改 雪景色」

あたり一面に雪が舞い降りた。そして、いつの間にかエストライガー達は氷像になっていた。








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終末審判を回避するために @alfarga

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