第3話 女神なんですか?悪魔なんですか?
「此処が部室って事になってる!」敷地内にある旧校舎的な古びた建物の2階に部室なるものがある、案内してくれたのは『柴田
〜〜〜〜〜
本日の講義も全て終了したのだが今もって職がない…途方に暮れながら中庭のベンチで項垂れていたところに現れたのが柴田だった。
初めて会ったのに軽やかに話しかけてくるものだから宗教の勧誘なんじゃ?と警戒して聞いてみたら「僕は自分以外は信用しない主義だから安心して!」て言ってた…それはそれでどうかと思いますが…
よくよく話してみると彼は学内にあるボランティアサークルの代表をしているらしい「こんな所で項垂れてる君をほっておけなかったんだ!何かお悩み?」て聞かれたので正直に「職を探してます」て答えたら「イイとこ紹介できるよ!でも其処って焼き鳥屋なんだけどうちのサークルメンバー限定色が強いんだよね店主がOBだから…」と言われた…
僕は悩んだ…そう言いながら新手の怪しい勧誘なんじゃ?でも背に腹は代えられない状況…一人暮らしが始まって早くもひと月が経とうとしている…事情を話したら両親もひと月だけ猶予をくれた…「その焼き鳥屋さんが真っ当で職にありつけたら入会するってのは虫が良すぎますか?」と聞いてみたら「良いよ!」と沖縄出身の芸人さんばりの良いよでアッサリ了承してくれた…ので今はその部室に案内されて付いてきたのである…僕も大概だな!危険予知能力ゼロなんじゃね?と呆れる…
部屋へ入ると南向きの窓から陽光が差し込んでいた、柴田さんは入会届けを探して机の引き出しをひっくり返していた…僕は部室の入口から部屋の中を右から左へと見渡してみるとふと窓辺に人影があった事に気付く、射し込む陽光の眩しさに気を取られて其処に人が座っていることに気づいてなかったんだ。
窓を背にしたその人影は目や鼻どころか輪郭さえ見えないくらいに只のシルエットだった、でも少し舞ったホコリが窓からの陽光にキラキラと光って…それはいつか何処かで見た絵画の様でもあった。
「ん?なんだ
「フゴッ!」
柴田が彩乃と呼ぶと影が豚っ鼻を鳴らして飛び起きたようだ、影は頭をかきながら「デヘヘへ…寝てた〜」と笑っている…少し残念な感じの
「昨日も遅かったのか?」
「う〜ラスト迄入ってたからね〜」
「紹介しておくよ!
「こっちは仮入会の
お互いに挨拶を済ませると本庄先輩は握手をする為にスッと右手を差し出してくれた、家族以外の女性の手を握るなんて久方ぶりだな…いやいや家族でも思春期過ぎた男子なら握ることないよね!一般的に!
逆光に目も慣れてきてシルエットだった本庄先輩の目鼻立ちも少しずつ浮かんできた、髪はボサボサの上にナチュラル…いやノーメイクだな!大学へ来るだけだったとしても何ともズボラな先輩ですことで…
差し出された手を握りもう一度しっかりと御尊顔を拝謁する。
「…いっ!赤パン…女神様?!」
「ああっ?!赤パン?」ついつい心の声を発してしまった僕に少し吊り上がった先輩のキュートな目が更に吊り上がり般若のような眼光を発している。
「そう言えば君どっかで…あれっ!鼻血君?!」本庄先輩は暫くジッと僕を眺めながら何かを考えているようだ…吊り上がっていた目尻が段々と下がってきて瞼が半開きになると両方の口角を上げてニヤリと笑う…般若ではなくなったが悪い事を考えている顔だ…
「森下君…見たんだ…パ・ン・ツ!」
「いやいや!みてません…いえ、見ました…スイマセン…」
「見たんだね?」
「でもそれは!偶然と言うか!
「そっかぁ、でもどうしよっかなぁ…店でもいやらしい事されたら報告しろって言われてるくらいだからねぇ…パ・パ・に!」
この人何だか凄い悪人ヅラで迫ってくるんですけど…待てよ!『パパ=本職=事務所=東京湾=す巻き…?』嘘だろ!!例えそこ迄ひどい事はされないと分かっていても血の気が引いていくのが自分でも判る…関わることだけでも遠慮したいから!
「ちょっ!ちょっ!スイマセン!ごめんなさい!許し…」
「アハハッ!ウソウソ!冗談よ!森下君落ち着いて」本庄先輩はお腹を抱えながら爆笑している…人が悪いというかなんと言うか…
「改めて!これからもよろしくね!ト・キ・オ・君!」
本庄先輩は凄く優しそうな顔に戻ってもう一度右手をそっと差し出してくれた…
僕がまだ怖々と右手を差し出すと本庄先輩は其の手を両手で優しく包むように握ってくれる…その手はとても柔らかくてとても暖かく感じた…
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