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この町の住人は、すれ違う私を存在しないかのように扱う。掃除をしている人は、黙って、辛そうに掃除をしている。配達しに来た人も、会話しない。相手が何を思っているのか、全く興味を持とうとせず、目線を逸らし続ける。
突然になにかを叫んで壁を蹴っている人がいても、まるで居ないかのように自分の作業をしていた。全部が当たり前みたいだった。
・・・
あの人は、昨日のところには居なかった。
旅館の窓は開いていて、カーテンが揺れていた。
試しに同じところに座って、同じ感じの姿勢で同じ方を向いた。
気持ちは何も変わらない。
晴れた景色のなかにその人が居て、上の方にあるらしいあの施設を眺めていた。かなり長く眺めていたはずなのに、一瞬見ただけだという感じがした。たぶんあの人は、どれだけあの施設を見ても、これといって何も思わなかったのだろう。ただの退屈な建物だ、としか思えなかったのだろう。
私に気づいた。
ミツギ「朝は3人、坂を昇って行ったよ!」
まるで、晴空の心地良さを伝えるかのように、楽しく言った。
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