第14話 『いつかの遺影』

実家、そこそこ古い日本家屋だから、仏間があるんですよ。

上の方に遺影がかかってるんですが、どれが誰か記憶ぼんやりしてるんですよね。

盆正月に親戚から「あれは何代前の〜」とか毎回ちゃんと説明されるんです。


で、ある時実家にいるときに、「あっちがお前のひいひいじいちゃんで~~」と、今度は祖母が説明してくれました。その時、変な感じがしました。


遺影って普通、真顔というか真面目な顔というか、たまに笑顔だったりすると思うのですが、あるご先祖くらいから様子というか、――表情がおかしいように思われました。


祖母はそんな自分の様子に気付いていないのか「無理矢理泣き笑いをしているような表情」をした遺影達を順番に指さしてご先祖様にお礼をしな、と拝んでいる。


「お、お礼?」

「こうやって『お影さん』がたを作ってくれて、ご先祖さんありがとうって」


遺影を「お影さん」と呼ぶ祖母と……写っている人々が親族の誰とも似ていないので、理解した。

この遺影に写っているのはご先祖様じゃない。

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