第14話 『いつかの遺影』
実家、そこそこ古い日本家屋だから、仏間があるんですよ。
上の方に遺影がかかってるんですが、どれが誰か記憶ぼんやりしてるんですよね。
盆正月に親戚から「あれは何代前の〜」とか毎回ちゃんと説明されるんです。
で、ある時実家にいるときに、「あっちがお前のひいひいじいちゃんで~~」と、今度は祖母が説明してくれました。その時、変な感じがしました。
遺影って普通、真顔というか真面目な顔というか、たまに笑顔だったりすると思うのですが、あるご先祖くらいから様子というか、――表情がおかしいように思われました。
祖母はそんな自分の様子に気付いていないのか「無理矢理泣き笑いをしているような表情」をした遺影達を順番に指さしてご先祖様にお礼をしな、と拝んでいる。
「お、お礼?」
「こうやって『お影さん』がたを作ってくれて、ご先祖さんありがとうって」
遺影を「お影さん」と呼ぶ祖母と……写っている人々が親族の誰とも似ていないので、理解した。
この遺影に写っているのはご先祖様じゃない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます