第13話 『おみやげやさん』

自分の好きなグループが島でライブをするとのことだ。

普段バイトで忙しいのだが、シフトの融通をバイトリーダーに頼み込んでライブの日と次の日を休みにしてもらった。

ライブ当日は、地獄のような真夏日だ。


猛暑の中、孤島でのライブは盛会。

素晴らしい休日を過ごした。

終わり際、MCの「なかあっき」氏が相方の「武藤かずき」氏に話したことが

私の気をひいた。


「島のお土産屋でさぁ、いいもの売ってたよね?」


「ああ〜アレですね。東京じゃあんまり見ませんよね」

「東京のお土産事情知らないけどね」


なかあっき氏と武藤かずき氏はのんびりした様子で話していたが、

結局肝心の島のお土産が何なのかは分からなかった。


ただ、時々家の中で、匂いがするようになった。

潮にヘドロが混ざったような嫌な匂いだ。

月に一度くらい、部屋の中に濡れた土が落ちていることがある。


それをふたりに言うと「あ、それ当たりだね!」と笑うのだった。

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