第12話 『忘れられた実家』

長く帰らない実家に足を向けたのは、母から「忘れないでね」というLINEが届いたからだ。

それを見たときに言いしれない不安にかられ、帰省することにした。

困ったのは駅からの道順があやふやになっていたことだ。


車を走らせていると看板が目に入った。

どこにでもあるような不審者注意の喚起ポスターが貼られている…。

ただ、こんな道の端に看板なんてあっただろうか?

しかもよく見ると描きこみがリアルだ。


背丈や服装だけではなく、髪型や顔まできっちり細かく描かれているのがわかった。

その看板が道行きに何枚も、何枚も何枚も立てられている。


「なんだこれ……」


看板が続く道を進んでいくうちに、ある家にたどり着いた。

それを見て、気付いた。


「ここが……実家だ」


なんで今までわからなかったんだろう。

長らく帰っていなかったから忘れてしまったのだろうか。


ふと横にある看板を見たら、不自然なほどリアルに描かれている人物が笑っていた。


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