第7話『楽しむ待ち時間』

これは私が、今はもう無くなった遊園地に連れて行ってもらった時の話です。


私はメリーゴーランドが好きで、遊園地についたらまずメリーゴーランドに乗ります。

その遊園地のメリーゴーランドは人気で、すでに10人以上の列ができていました。


目の前では、ぐるぐると煌びやかな木馬や、飾り付けられた馬車が回っています。

それを眺めていると、私はその中に場に似つかわしくないものがあることに気づきました。

それは、赤色の小さな三輪車です。

バイクのサイドカーのように、馬車の横についていました。


人気なさそうだし、他の綺麗な木馬に変えたら良いのに。

メリーゴーランドはぐるぐる回り、同時にその無人の三輪車も私の前を通っていきます。

それが繰り返されている内にふと違和感を覚えました。


なんだか、三輪車からかすかに声が聞こえる気がするのです。

と、思ったらメリーゴランドが減速し始め、三輪車から声がはっきり聞こえてきました。


「お楽しみいただけましたか?お楽しみいただけましたか?・・・」

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