第2話 死人にクチナシ
「お金を恵んでください」
皆さんどうもこんにちは。天気ぃ、いいっすね。さて問題です。Q.私は今何をしているでしょうか
シンキングタ〜イム!チクタクチクタクチクタクチーン
正解は〜?A.ヤニと酒をチャージする金とパチンコを打つための軍資金をせがんで土下座してるとこでした〜
皆んなは正解できたかな〜?
「ダメだ。君はこの一週間でいくら溶かしたと思ってる?」
「......五十くらい?」
「九十だ」
「あれぇ?そんなに?」
「はァ、せめて君に異能があったら利用価値があるんだがなァ」
◯
異能とは?そんな疑問に答えるべく私達はアマゾンの奥地へ行......かないです
説明しよう!異能とh“そういうのいいからはやくおしえて!”ア、ハイ。普通に教えます
異能とは大体二百年位前にある科学者が生み出した『覚醒薬』によって覚醒した能力の事です
“しつもんです!『かくせいやく』ってどこでうってますか?”
おや、かわいいお嬢さんいい質問ですね。基本『覚醒薬』は一般販売されていません
“なんでですか?みんなくすりをつかえばもっといのうをつかえるひとがふえるのに”
残念ながら使った人が必ずしも異能を使える様になるわけではないのです。なんなら大体の人が死にます
“え〜!けっかんひんじゃん!せいやくがいしゃをうったえます!さいばんもおこします。さいばんしょにももんどうむようできてもらいます”
ま、まぁ落ち着いて下さい。これは致し方ない事なんです。薬を使って生き残れるのはその薬に適応できる人だけなのです。つまり二百年程前に使われ、生き残った人達が今の人類の祖先で、まぁ要するに増えすぎた人類の間引kゲフンゲフン!自然淘汰です。それに今では異能は人類の50%が使えるんですよ
“なんで?かくせいやくはうってないんでしょ?”
お嬢さん、遺伝と言う現象を知っていますか?一言で表すと親から形質を受け継ぐ事です。形質とは生物の形、性質です。身長、顔、視力の良さ等々の様々なものが受け継がれます。それは勿論“異能”もです
“はえ〜しゅごい”
疑問は解決出来ましたか?
“はい!ありがとうございました”
いえいえ、これくらい如何ってことありませんよ。てかL◯NEやってる?何処住み?
“さよなら〜”
◯
「ん!?今何か変な解説が入ったような」
転身に電流走る。(気のせい)
「バカなこと言ってないでさっさと金稼いでこい!期限は四日だバカタレがァ!」
「そんな!無茶ですよぉ」
「溶かした君が悪い!オラ、依頼取ってこい!」
この会社?の仕事は基本お客様が依頼をしてくる。依頼は様々で軽い物もあればヤバい物もある
ここで軽い依頼の例を一部紹介しよう
・行方不明者捜索 十万
・令嬢、令息護衛 五十万
軽い依頼は最低でも十万、最高で五十万。ただ、軽くてもきな臭い依頼もある。見分けられるかが肝だ
次にヤバい依頼。ヤバい依頼はもう兎に角ヤバい。日本語って便利だね
これがヤバい依頼の例
・薬の治験(薬師寺許可済) 百万
・お偉いさん暗殺 言い値
折角だから私はこの治験依頼を選ぶぜ!九十万返して更に軍資金十万。何ておいしい依頼なんだ!しかも薬師寺さんが許可してるんだから多分大丈夫!
フッ四日も要らないな。こんな依頼なら私一人でもできるぜ(一級フラグ建築士)
________________________
「ドーモこんにちは、初めまして。今回担当する
「アノー、何で私は手術台に磔にされてるんですか?」
起きたら手術台の上、まな板の上の鯉。仰向けの状態にめっちゃライト当ててきて眩しい。尸鏡って奴の影しか見えん
「治験って何だっけ?」
「勿論、薬を使うのですよ。まぁその前に睡眠薬で眠らせて拘束させて貰いましたが。あそうだ!前金の百万、ここに置いておきますね」
ヒャクマンイェン!私の軍資金!よし、今日も一日頑張るぞい♪
「で、何で磔に?」
「注入中に暴れられたら困りますので」
なんかヤバそう。いやヤバい。死ぬことはなさそうだけど確実に酷い目に遭う
「はーいチクッとしますよー」
「絶対チクッとですまなーい!?」
尸鏡が屈んだと思ったらどデカい注射器を出してきた。ぶっとい針も見える
「ダイジョーブダイジョーブ、先っちょだけだから」
「頭狙ってるって!ヤバいって!前頭葉潰れちゃうってぇ!」
うおおおお!全力で暴れてもギッチギチに縛られて全然動けない!おかーさーーーん!いもうとーーーーーー!序でにおとうさーーーーん!助けてーーーー!
「薬師寺さァーーーーーーーん!」
ドスッ
「アーーーーーーーーーッ♂!チクッて言ったじゃん、チクッて言ったじゃん!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」
肌び刺された痛みと頭蓋骨を割ろうとする痛みにのたうち回る。メリメリミシミシと音を出しながら骨を砕こうとする。最後にメコッと音を出して頭蓋骨に穴が空く。私はあまりの痛みに意識を失った
「起きてくださーい」ベチンッ
「はわぁ!?」
突然のビンタに飛び起きる。エ、ナンデ?ナンデブタレタノ?こちとら怪我人だぞ!?やんのか?オォン?
「気分はいかがですか?」
「とっても最悪です!」
「うん、元気があってよろしい。一先ず安静に、これから三日間だけ入院して貰います。勿論入院費はタダですよ」
「え〜?病院食嫌いなんだよね」
「夜はピザにしましょうか」
「病院大好きです!」
夜、転身は照り焼きチキンピザとシンプルなマルガリータを完食し爆睡した。この二枚は転身だけで完食したが、金は一銭も払っていない。まさに外道
三日後
おっはー!私は無事百万を手にして退院した。尸鏡は“色々変わりましたからお気を付け下さいね”と言っていたが如何言うことだろうか?だが、念願の百万を手に入れた私にとってそんなのは些末な事だ。さーてさっさと帰って怒木さんに九十万を返して残りの十万で荒稼ぎしてやるゾぉ⤴︎
転身は怒木の怒った顔(般若面)を思い出しながら帰宅した
そして現在
「アンタ何モンじゃん!」
喜芳さんに銃を突きつけられています。ドシテ?
遡る事数分前、ルンルン顔で会社に戻り怒木さんを探したが見当たらない。きっと外出中だろう
「誰かいませんか!」
事務所に大声で声をかける。すると「誰っすか?」と喜芳さんが出てきた
「? 怒木?頭に包帯してどうしたじゃん?それに昼は出かけるって言ってたはずじゃん。何でここにいるじゃん?」
「エ?」
「いや、アンタ怒木じゃ無いじゃん。いつもの怒りの波動が感じられないじゃん!アンタ何モンじゃん!」
カチャリと銃を向けられる。何故!?私の何処を見て怒木さんだと思ったの!?怒りの波動ってナニ!?
ふと壁に掛かっている全身鏡を見る。そこには不思議な光景が広がっていた。ここにいるのは紛れもなく転身空だ。だが鏡に写っている人物は怒木燃だった
「????????」
転身の頭の中に宇宙が広がる。私は怒木だった?
「おい、聞いているじゃん。アンタ誰じゃん、本物の怒木は何処に行ったじゃん!」
銃口がグッと額に押し込まれる。まだ治っていない額の傷にそれはそれは力強く
「いっったあああぁぁあ!」
「うるっせええぇぇえ!事務所で騒ぐなアホンダラァ!」
「!? い、怒木が二人いるじゃん!?」
「うお!わ、私?こんな所に鏡なんて置いたか?」
「違うじゃん怒木!こいつ人間じゃん!」
どうやら本物の怒木さんが帰ってきた様だ。な、なんて説明すれば......
「ア、アノ、エトわ、私転身です!」
「う、空ちゃん!?」
鏡をもう一度見てみると今度こそ私が写っている。一体何が?
「転身、この四日間無いがあったか詳細に説明しろ。今、直ぐに」
怒木さんに詰め寄られ、結局尸鏡さんの依頼を受け頭に注射器をブッ刺された事を話した
「その尸鏡という男は
「あ!
「
「薬師寺の名前だ。確かあいつの生徒じゃなかったか?」
「そうじゃんそうじゃん、その子じゃん!いつも周りにくっ付いてた奴じゃん!」
尸鏡さんは薬師寺さんの生徒だったらしい。昔はよく薬師寺さんに師事していたという。今はもう卒業し、開業医として働いている。喜芳さんと大笑さんが尸鏡さんの所に向かい、暫くして
「よし、転身よく聞け。君が打たれた注射は『覚醒薬』だ」
「はえ?」
「薬師寺が電話で尸鏡に問いただしたら直ぐに口を割った」
ちょっと理解が追いつかない。確か教科書で見たことがある。投与すると異能が使える様になるけど大半が死ぬって奴
「何でそんなのを!?」
「......自分で作ったらしい」
「!? ど、どうやって!?」
「何でも偶々裏サイトを漁ってたら何かの薬のレシピをみつけて、作ったはいいものの毒かもしれないから色んな所に依頼を出して、そして偶然君がその依頼を受けたと」
「私の命の価値は百万だった?」
チーン(33-4)なんみょうほうれんげきょう(題目)。意気消沈、意気阻喪、垂頭喪気、あらゆる元気が私の中からにじみ出ていく
「生き残れてよかったな。これで晴れて君は異能者だ」
「そう考えれば、いい......のかな?」
如何見ても価値が見合っていない。百万程度で私の命が死神に買われそうになったのだ。クソ!あの病院クレーム入れてやる!
「怒木くぅん!大変大変!」
「ん?如何した薬師寺」
「尸鏡君がぁ!」
その知らせは尸鏡が死亡したという驚愕の知らせだった。拳銃での自殺らしい
「喜芳君と大笑君がぁ発見したってぇ電話で聞いたんだぁ」
「そうか......ご愁傷様だ」
「けどぉなんかちょっと様子がおかしかったらしいんだよねぇ」
「......如何いう事だ?」
「確かに拳銃で頭を打って自殺してたんだよぉ?けど病院内、特に手術室が荒らされてたらしいんだよぉ」
「......マズイな、考えられる最悪の可能性が出てきた」
「ソノ、最悪っていうのは?」
「政府が関わっている可能性だ。恐らく流出した覚醒薬のレシピの情報を辿って尸鏡の病院に行き着いたのかもしれない。おい転身、注射された時尸鏡はカルテを書いていたか?」
「書いてました.....,それにこの四日間の経過観察のも」
スケールの大きさに転身の顔は真っ青になっている。どれだけ怖い人に囲まれようが心の内ではどうにかなると楽観的な考えを持っている転身だが、流石に今回は如何にも出来ない。だって相手は政府、異能者の監獄である
ここで解説。現政府は異能者を生まれた瞬間から囲っており、今の政府の職員、官僚は全て異能者となっている。ついた渾名は『異能者の監獄』。つまり政府に属していない異能者は全て異能犯罪者であり、後天的に異能者になった者も要するに違法な方法で異能者になった犯罪者という事である。この場合、意図せず異能者になってしまった転身は違法なお薬を使って異能者になったという事なのでバッチリOUTである。それに、捕まった異能者の最後は悲惨である。一生を独房で過ごし、手首、足首、首には鎖が繋がれ耳栓、目隠し、猿轡をさせられる。また、首の部分には異能を使った瞬間爆発する首輪が巻かれており、一切動くこともできない。聞くことも見ることも喋ることも出来ない、最早死んだも同然である。勿論、義務教育で全て習った転身はそりゃあ顔を真っ青にしても当然だ
「ヒィッつ、捕まりたく無いぃ」
「落ち着け!いいか?こんな言葉がある。“バレなきゃ犯罪じゃあない”。分かるか?」
「ソ、それでも!私し、指名手配もされてるし!居場所も直ぐバレちゃいますよ!」
「“バレなきゃいいんだ”。思い出せ、自分の異能を」
「私の......異能」
先程、身体が怒木になっていたのを思い出す。そうか、私の異能は
「『変身』?」
薬師寺のペストマスク、血のついてない真っ白な白衣を思い出す
「そうだ、当たり前の様にしろ。異能が使えて当たり前だと思え。思い込め」
鏡を見る。私だ。正真正銘私だった。だが体は違う。筋肉が盛り上がり、顔にはペストマスクを付けている
「これが......“異能”」
私だけど私じゃない。全く別の私
「はァ、何とか安定したな。君が暴走しなくて良かった」
「ハァッハァッハァ......あ゙ー辛い」
「まァ最初はそんなモンだ。私だって最初はそうだった」
「怒木さんも異能者なんですか!?」
「ちょっと事情があってな」
「へぇ」
兎に角、これで大丈夫......なはず。大丈夫だよね?
「怒木くぅん!またまた大変!」
「今度は何だ!」
「尸鏡くん蘇生したって!」
「? 何言ってやがる。尸鏡は銃で頭を撃ち抜いたんだろ?」
「それがねぇ、尸鏡くん治験を通してあの薬は毒じゃない、しかも『覚醒薬』だって
「えェ......取り敢えず保護だな」
怒木さんが珍しくドン引きしている。流石に私でもそんな悪運が強いなんて事は無いだろと思う。(無自覚)取り敢えず全員助かった事を喜ぼう
______________________________
尸鏡 しかがみ→死人の鏡(アガサ・クリスティ)
甘露 かんろ→アムリタ、不死を得る霊薬
クチナシ 花言葉 『喜びを運ぶ』
胸がおっきくてクズでカスな娘 みかん大福 @mine0217
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