外での拾い物

朝起きたシャルロッテは、まず初めに校庭の近くの掲示板に向かった。

校内で自主的に発行している新聞や、校内の地図などが貼ってある。

「さーて、今日は何があるかな〜」

自分の名前の横に書いてある仕事をこなす。

「お!今日は探索じゃん!」

シャルロッテちゃんウッキウキ。

「さあさあ!保存食と〜お気に入りのホーワカービンに〜マグポーチとシャベル〜忘れちゃいけない帽子〜」

お気に入りの装備をバカスカ着込む。

「よし!」

某筋肉モリモリマッチョマンの変態シュワちゃんが装備を整えた後に流れる効果音が聞こえてきそうな装備だ。

「行こう」

水の入った水筒と軍手を引っ掴んで体育倉庫から出る。

調達部と車両部に申請を出して、燃料の入ったジェリカンとバギーの鍵を受け取る。

バギーに乗って門を出る。

「今日は〜どこに〜行こうなぁ〜」

軽快に飛ばしながら進む。

「あ!前に見つけた所に行ってみよっと」

そしてハンドルを切って進む。

道中何体かゾンビとすれ違ったが、バギーのスピードであっけなく突き放される。

「よし!着いた〜」

ヘルメットを取って首をブンブン。

髪を直して戦闘帽を被り背伸びをする。

「よ〜しいくぞい」

建物に入っていく。

「お目当ての品は〜」

台所には、袋麺と缶詰が適度に。

「まあ上々か」

次は2階。

ゴトッ.........

「あひっ.........なに、今の」

シャルロッテちゃん完全にびくびくモード。

「お願いネズミ、ネズミ」

ホーワカービンにナイフを括り付けて簡易的な銃剣にする。

「お願いだから、ネズミネズミ」

階段を上がって手前にある部屋に入る。

「いない.........良かった」

更に次の部屋のドアを開ける。

「びゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

薄暗いそこに、それはいた。

いきなりシャルロッテの悲鳴を聞いて、そこにいた人もびっくりしたようだ。

更に驚いたのは、そこにいた人がびっくりしたのか口を大きく開けた。

「うひゃぁぁぁぁぁぁ!!」

叫ぶのも無理はない。

その人の口は常人よりも遥かに大きく口が空いて、中にはカミソリのように細い歯が沢山付いていた。

バンバンバンバンバン!!

セミオートなのに、フルオート並みの連射力を浴びせかける。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

15発撃ち終わって射撃を止めた。

硝煙が立ち込めて火薬の匂いが鼻を突く。

見ると体に穴を空けて倒れている。

「倒した.........の?」

ぴくりとも動かないで倒れている。

「よかった.........でも」

そう、倒れている場所はちょうど部屋のドアに倒れている。

入るのに邪魔だ。

「触りたくないけど.........ひいい」

そろりそろりと手を触れると、体は少し冷たくなっていた。

「よかった、冷たくなってる」

これ幸いとばかりに体を引っ張り出して、壁に横たわるように移動させる。

「さぁ探索」

おっかなびっくりしながら、部屋に入ってゴソゴソ漁る。

「あの.........」

「ひゃぁ!!!」

いきなり後ろから声をかけられてらシャルロッテは肘で声の主をどついた。

「ぐっ.........痛いです」

「あなた!さっき!」

「ん?さっき?なにかありましたっけ」

「撃たれてたじゃない!」

「ああ、全くのノーダメでした」

「あなたゾンビじゃないの?」

「ゾンビ?私はSTM、Situation Test Mobと申します」

「シチュエーション、テスト、モブ??」

「はい、略してSTMです」

「あなた何してたの?」

「私はお腹が空いたので、その辺りのネズミを食べてました」

「食べて大丈夫なの?」

「人間じゃないので」

「あのSTMさん、この家の中に食べ物か貴金属類はありますか?」

「貴金属類はよくわかりませんが、食べ物なら」

STMは床を指差して言う。

「ネズミは食べられないよ!」

「あ、そうでした、すみません」

それから、二人は探索を続けた。

夕暮れ時になって、シャルロッテは探索で見つけた物を乗って来たバギーに運ぶ。

「よし、ありがとうSTMさん!」

シャルロッテは礼を言う。

「こちらこそ、どういたしまして」

「あの、STMさん、良かったら私たちの学校に来ませんか?」

「良いですよ、でもなぜですか?」

「STMさんがいた方が、探索とか捗るし......それと、それと.........」

「つまり一緒に居たいと?」

シャルロッテは頬を赤らめて頷く。

「だって、今まで一人で寂しかったんだもん.........」

STMを荷台に乗せて二人は帰宅する。

バリケードの張られた校門に近づいた時、城門から声をかけられた。

「シャルロッテちゃんおかえり、後ろの人は?」

「この人?はSTMちゃん?」

「はい、ちゃんです」

と簡単に紹介する。

「STMちゃん?とりあえずお風呂入ってこよっか」

「お風呂?...わかりました」

シャルロッテは自分とSTMの分の着替えを持ってドラム缶銭湯に行く。

「ほら、STMちゃん脱いで」

シャルロッテは、STMを上下すっぽんぽんにする。

「STMちゃん体赤いね」

下腹部や、腕などに赤い印がある。

「物心が付いた頃からありましたが、私にもよくわかりません」

「そうなんだ」

二人は、ドラム缶銭湯に入った。

『STMちゃんの、私より大っきいなぁ.........』

二人は体を洗い合った。

「STMちゃん!!ストップ!ストップ!」

「だって、体の汚れを落とすのでしょ?もっと強く擦らなきゃ」

シャルロッテちゃんの体をSTMは強くゴシゴシ洗った。

「STMちゃん!溺れちゃうよ!」

STMは頭からドラム缶の湯船に入ろうとした。

「ほら、こっちきて一緒に入ってあげるから」

二人は一つのドラム缶風呂に入る。

『STMちゃん、体モチモチ、可愛い.........』

二人はしばらくドラム缶風呂で暖まった。

「なんか、冷たいな」

初めは少し熱かった湯船もいつの間にか、ぬるくなっている。

「なんか、冷めるの早い」

ドラム缶の底はうっすらと冷水が漂っている。

「なんでだろ」

その冷水の元を辿ると、原因に当たった。

「STMちゃん!?体冷たいよ!?」

STMの周りだけ、なぜか冷たい。

「ちょっと、初めてのお風呂でわくわくしちゃいました」

「わくわくして体は冷たくならないよ!」

「なんでか、興奮すると体が冷たくなるんですよね」

シャルロッテちゃんはドン引き。

「STMちゃーん!上がろうかぁ!」

別のドラム缶に頭から入ろうとするSTMを止めて、風呂を上がる。

その後、新しい服に着替えてドラム缶銭湯から出る。

「STMちゃん、コーヒー牛乳いる?」

「こーひーぎゅうにゅう?それは、なんですか?」

「飲むと、疲れが吹き飛ぶ飲み物だよ」

「それじゃあ、頂きます」

二人は、コーヒー牛乳を飲んで、シャルロッテちゃんの自室のベッドに入った。

「STMちゃん、おやすみ」

その日は、何事も(?)なく終わった

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弱小校サバイバル ESMA @ESMA1456K

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