第2話
だけど、ぼくはそれを素直に受け止められない。だって、もしもあの養護院にいた数多の白人の子のうちの1人を養子にしていたら。お出かけしても、どこにでもいる実の親子のように見えただろう。誰もパパとママに、ご立派ですね、なかなかできることではありませんね、とは言わなかっただろう。ぼくは、一目で養子とわかる形状を持っていた。
そう、それこそが、2人がぼくを養子に迎えた理由なんだろう。たぶん。
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そう思ったきっかけは、テレビで見たある番組。その番組は珍しいペットと飼い主の生活を紹介するドキュメンタリーで、タイトルは「エキゾチックアニマルガーディアンズ」。珍しい生き物の庇護者たち。
ペットに愛情を注ぐ飼い主と、飼い主を慕うペットの微笑ましいやり取り。彼らは確かにペットを愛している。ペットのほうも飼い主を愛し信頼している。それは疑うべくもない。だけど、それ以上に、登場する飼い主たちは珍しいペットを飼っていると注目されることを楽しんでいるように、ぼくには思われたんだ。
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もちろん、そんなこと、誰にも言わない。言えば非難されるのが目に見えている。ひねくれ者、恩知らず、これだからちゃんとした家庭で育たなかった子は—。
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ぼくがそのことを誰にも言わずにいたのには、別の理由もあった。そんな醒めた目で“両親”のことを見ながらも、ぼくは少し-ほんの少しだけ-期待してもいたんだ。周囲のみんながぼくの存在を知り、お出かけしても普通の家族として扱われる機会が増えると、特に。
何を期待していたのかって? それはね、パパもママも、実は純粋にぼくのことを気に入って家族に迎えたんだってこと。ぼくが養子であることに周囲が慣れて、両親を称賛する言葉を言わなくなってもね。
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