第104話

意外かも知れないが、歳をとると、こっぱずかしいことでも言えるようになった。

そして、それをその後読み返しても「また、やっちまった」と済まなく思うが、恥ずかしくて逃げたいとまでは、思わない。


要するに老いで、感受性が鈍った、ということだろう。


あとは、少しだけ、見栄をはらなくなったか。


過ぎた情熱は恥ずかしいものだが、それが悪いことに向かわない限り、まぁいいんじゃなかろうか。


冷静になったとき、それが明らかに過ちだと気付いたら、素直に謝るべきだし、自分の本当の気持ちだと思うなら、それを認めるしかない。


・・・今度こそ呆れたな、ユキは。


今から、土下座の準備でもしておくか。

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