第59話

はっきり言って、私の甘い願望が叶えばいいななどと思って、ユキへの手紙を書いている訳ではない。私のユキへの気持ちがどういうものなのか、きちんと理解し受け容れるためのものだ。


これをきちんとしないと、ユキへの感情が歪なものになってしまう。

その先は、むしろ悲劇だ。物語の疑似恋愛が、妄想となり、現実と区別がつかなくなる。


それを避けるため、自分の心の在り方をはっきりと、可能な限り言葉とした。

ユキに対し、一人の大人の人格を持つ女性として、対等に接するためだ。


はっきり言おう、ユキに人としての敬意を抱いている。

学ぶことが多い女性だ。


私のような、しがないオッサンにとって、ユキのような妙齢の女性と、本気で対話する機会など滅多にない。だから、本気でユキのことを思って、ユキへの感情がどのようなものか自分自身を見つめた。



上辺だけの美辞麗句ではなく、本気で向き合わなければ、ユキだってちゃんと接してはくれないだろうと思ったからだ。


醜かろうが、本当の心を正直に伝えずして、誠実さとはいえまい。


私は、ユキにただ誠実にありたいと思うのだ。

それが、自分の心を、もっと軽やかにする、唯一の方法だと。

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