第39話
物を書くなら、面白い物語を描きたいものだ。
とはいえ、私には綿密な取材力や素敵な発想というものがない。
ユキに取材を手伝ってもらったときも、余計な事ばかり考え、怠けていたので、呆れていた事だろう。
そういう意味で、私に物書きには向かない。
膨大な知識を集め、整理し、豊かな発想で、緻密に組み立てていかなければならないからだ。
私は、私が実際に経験したことからしか、言葉が生まれない。
だから、語れる範囲は非常に狭いし、語り口もつまらない。
そういう私のできることは、できるだけ正直な言葉を紡ぐことだ。
それは、ある意味、心を晒すことでもあり、苦痛も伴うだろうが、愚かな自分を浮かび上がらせ対峙できるという利点もある。
醜悪な自分から目を逸らし続ければ、苦しさからは逃れられないと思うからだ。
だから、私は私のためにしか書けないと思う。
かっこいいことを言っているように見えるが、普通の人が自然にできることを私は出来ていないから、そうするしかないという、実に情けない話を言っている。
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