第38話

この連休は、ずっと引きこもってこれだな、金もかからないし。

ユキが「いい加減にしろ!」と怒らない限りは・・・だが。


ユキユキとしつこい男だが、今、別にユキに再会したいだとかは思ってないし、「構ってちゃん」欲望も、なりをひそめているようだ。


思うのだが、たとえば仮にどんなに愛おしい相手であろうと、その者のことばかりを考えていると、不思議と距離が遠ざかる。


そうではなくて、その時どうしてもやらなきゃならない事に集中できると、不思議と距離が縮まっている。


・・・そういう経験はないだろうか?


ただの偶然かもしれないが、私はこの世界がそういう「設計」をされているのではないかと、最近考える。



私が冴えないオッサンのままなのは、そういう心の在り方が保てないからだ。


では、どうすればいい?そのまま諦めるのも、少し癪だし。


若者に宛てるような感じで、少し書いてみるか。






もっと素直になってみよう。


不格好な自分を愛する事はできなくても、気にしないようにする事くらいはできる。

そして、そのまま受け入れて忘れる。


仮に、好きな人が出来たとしよう。

その人に好かれるために、無理はしないし自分も偽らない。

むしろ愛情など、最初から求めない。


かといって、無理に距離は置かない。


だって、好きなんでしょ?その人の事が。

だったら、話したいことを肩肘張らずに話せばいい。

素直に、話がしたいと言えばいいし、自慢話ではなく、事実だけを話せばいい、時折冗談なんかを交えながら。


愛されようとしたところで、それを決めるのは相手だ。

自分にはどうしようもない。


彼女に相応しい男となるよう努力するのは立派な事だ。

ただ、自分を偽って無理を続ければ、いつか破綻するだろう。

そうではない努力というのは、とても難しい事だと思う。


君を愛してくれる人は、たぶん君の自然な姿を愛してくれてるのだと思うよ。




・・・なるほどね。


こんな考えの私だから、ドラマのような猛烈なアタックと努力の末に恋が、実ったというような話は、他人事としてみれば面白いが、私には向かないな・・・と感じる。


そういう部分で、今の私は自力成就を放棄している感じがするし、多分そうだ。






と、いうか、何故私が、最も不得手とする恋愛系の話をしている??


私は、単に「構ってちゃん」の、スケベオヤジだぞ!

まずいまずい、路線を逸脱しているぞ!ユキよ。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る