第21話

若いと、美しい女性の気を惹きたいし、好きになって欲しいよね。

初老の私にだって、そう思う時がある。


でも、あの美しいユキの気を惹きたいとは、実は思っていない。


あっさりとした、それでいて正直な言葉のやりとりをして、ちょっとだけ優しい気持ちになれればいい、その時は笑顔だ。


欲というのは人には必ずある。醜い部分も必ずある。


それが気になってしまうのは、互いの距離を欲張って縮めようとするからだ。


確かに美しい女性ひとの肌に触れていたい、それは人としての正直な欲望だ。


でもね、本当に必要なとき、そっと触れるだけでいいじゃないか。

それ以上欲張ったら、蒸れちゃうよ(笑)


星の美しい輝きだって、触れるほど近づいたら燃え尽きてしまう。


人が、仮に、本当に人を愛せることができるとしたら、それは、正しい距離を互いに保ち続けられる関係だ。






私には、絶望的に難しい事だ。


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