第18話

世間では連休だ。

少し涼しくなってきたし、どこかに出かける者も多かろう。

私は、人混みが苦手だし人付き合いも得意ではない。

やろうと思えば出来なくもないが、そういうのがあまり好きではないのだろう。


趣味は結構多い方だが、大勢でワイワイやる趣味は一つもない。


だから、連休だというのに、独り家に籠って、こんなことを書いている。

そういうのが性分に合っているようだ。


それに、気の良いユキが、ひとりぼっちの私を気遣って、結構メールをくれる。それが、かなりうれしくて、独りの時間が退屈には感じない。


彼女には、いずれお礼をしなければな。



ところで、私の住まいは東北の地方都市、ユキの住まいは、私が学生の頃住んでいた横浜だ。要するに、物凄く遠い。


彼女から連絡先は教えてもらったが、プライベートのことはほぼ知らない。

仮に教えてくれたとしても、多くはきく気もなかった。


互いに、何も知らない、まっさらな距離感で、でも、素直な気持ちで接してみたい。

ユキに会った時、そんな風に思ったからだ。


お互いのことをまるで知らないからこそ、素直に、心を包み隠さずに伝えてみたい。

そんな気にさせる女性であった。


だから、私は今後もユキのプライバシーを侵害したり、執拗に彼女のことを知りたがるようなことはない。


知らないからこそ、わかることもあるし、離れているからこそ、互いに良い心の距離を取れるのではないか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る