第3話

ユキとディズニーランドの話をした。

むさくるしいオッサンにとっては、無縁な場所だ。


ユキは、今度の激務が終わったら、ディズニーランドに遊びに行くと言う。

とっても健全なバランス感覚だ。

・・・私には真似ができない。


ところで、楽しみにしているディズニーランドの現状をユキが話してくれた。

確かに、素敵な非日常だけど、夢という割に「お金」の如何で差別される。

そう言った。


・・でも、ユキは健康なバランス感覚が抜群だから、そういう、ある意味醜さもある場所で、素直に楽しめると思う。


・・・心の色がきれいなのだから。



ユキは勉強が苦手だと言うが、聡明さというのは学歴じゃない。

これは言を強くして言いたい。


・・なるほど。

嫌らしい性欲ではなくて、私がずっとユキと普通に接したいと願ったのは、そういう本当の聡明さに触れていたいからだ。


肉体的にではなくて、自分ではよくわからない、大切な何かに、そっと触れていて欲しい。



・・・いや、こんなことを言うガラじゃない。

私はたんなるスケベです!



ユキの言葉に、ハッとし、

夢とか非日常とか、理想というものを、私は思った。



たとえば、

苦しい放浪の旅を、私がしていたとしよう。

そして、コーヒーを飲みたくなったとする。


そして、ユキが淹れてくれた、

一杯のコーヒーが、目の前にあったとしよう・・・。


私は、その瞬間、

そのコーヒーが、この世界で一番大事なものだと感じるだろう。


願わくば、ずっと、素直に、そう思える男になりたい。


俺にとって「夢」とは、そういうものかもしれない。



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