俺の目の前に死んだばあちゃんが出てきた話

NARU

第1話 俺の目の前にいる人

「彰人、大きくなったわねー」

よく心霊番組やなんかで、自分が見えないだけで幽霊や妖怪は案外すぐそばにいる。って聞く。そんなことないだろって思ってたけど、いざ自分の目の前に立って話しかけてくる人が「もうこの世にいない人」だと思うとあの話は案外というか嘘ではないと思う。


蝉の鳴き声がよく響くある夏の日、鈴野彰人は自室で漫画を読んでいた。いつもは外で遊んでいるが、今日はあまりにも暑いのでさすがに遊ばないで家に居るのが一番いい。下から母親の声が聞こえる。

「彰人。お母さんおじいちゃんの家に行ってくるわね。漫画ばっか読んでないでちゃんと宿題しなさいよ。あと午後から雨が降るらしいから洗濯物とりこんでおいてね。」と言って家から出て行った。

それを聞いた俺はめんどくさいなと思いながら、丁度喉も渇いたのでリビングに向かうことにした。リビングに着いた俺は冷蔵庫を開けて、麦茶を取り出して飲んだ。

「はぁ、早くこの暑さ終わってくれよ」そうぼやきながら母さんに言われた頼み事をこなして部屋に戻った。さっきの漫画読み終わったら、次何読もうかなーと考えながら階段を登っていると、何故か誰もいないはずの部屋の方から小さな物音がする。

一体どういうことだ。父さんは出張中でいないし母さんは今さっき出かけっていったばっかだ。この家には俺一人しかいないはず。なのに、なんで物音がするんだ。

 俺は急に怖くなった。ふと、この間それに似たような心霊ドラマを思い出してさらに怖くなった。いやいや、でもさすがに気のせいだろう。なんかの間違いだろう。そう思い込んで部屋に入った。部屋に入ると、やはり誰もいなかった。

「そりゃいるわけないよな、あーあびっくりした。」

「いや、いますよ?」

背後からとつぜん俺以外の声が聞こえた。

「うわぁ!!」思わず叫んでしまった。

後ろを恐る恐る振り返るとそこには人が立っていた。白髪の女性でとても上品そうな人だった。

「すいませんでした。もう嘘つきません。母さんに反抗的な真似もしません。だから命だけは!!」

「彰人?何言ってるの私よ?あなたのおばあちゃんよ?」

『え?」

顔を上げてよく見ると確かに見たことのある顔だった。だけどそれは実物ではなくて写真で。そうだこの人は俺のばあちゃんだ。

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俺の目の前に死んだばあちゃんが出てきた話 NARU @narukama

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